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論文紹介

著者の顔画像Raj Kumar Parajuli先生
22 APRIL 2023
Development and Applications of Compton Camera - A Review
論文画像
コンプトンカメラの歴史は天文観測における放射線源の検出から始まりました。その後、環境放射線測定、核画像診断、放射線治療における放射線量測定、さらには国家安全保障領域などへと応用が進みました。コンプトンカメラの開発と実践を概説する論文はこれまでほとんどありませんでした。そこで、コンプトンカメラの主な開発・応用事例と、関連する画像処理アルゴリズムの研究開発について、ひとつの総説論文にまとめました。
Sensors
doi: org/10.3390/s22197374
著者の顔画像岡野 奈緒子先生
14 APRIL 2023
Does IMRT Improve Outcomes of Scalp Angiosarcoma?
論文画像
血管肉腫は頭部に比較的よくできる浸潤傾向の強い皮下腫瘍です。血管肉腫の治療は皮膚科の先生と協力しておこないます。頭部では、腫瘍のある皮膚・皮下組織が薄く、頭蓋骨のすぐ内側に脳があるため、脳を避けつつ皮膚に近い腫瘍に放射線をあてるために電子線を用いた放射線治療がおこなわれてきましたが、頭部が球状であるために均一な照射が難しいという問題がありました。これを克服するために、本論文ではIMRTという放射線治療技術を使って治療した成績を報告しました。
Anticancer Research
doi:10.21873/anticanres.16110
著者の顔画像柴 慎太郎先生
06 APRIL 2023
Does Bioabsorbable Spacer Stop Carbon-Ion Beams?
論文画像
消化管近接腫瘍の重粒子線治療をより安全に行うために、重粒子線治療後に体内に吸収される吸収性スペーサーが開発されました。しかし、吸収性スペーサーが人の体内で本当に重粒子のビームを止めているのかを確認したという報告はありませんでした。今回、AAPETを用いて吸収性スペーサーが体内で重粒子のビームを止めているのかを観察しました。結果は左の図の通りで、治療計画通り吸収性スペーサーが重粒子のビームを止めていたことが確認できました。
Tomography
doi: 10.3390/tomography8050195
著者の顔画像森 康晶先生
26 MARCH 2023
LETd Parameters Were Not Associated with SIF Prediction
論文画像
群馬大学やQST病院などで行われている重粒子線治療は高LET放射線である炭素イオン線を用いた治療であり、腫瘍をやっつける力がX線や陽子線より強いと言われています。その腫瘍をやっつける力が強いという作用が腫瘍ではなく正常組織である骨には悪さをしないの?という疑問に一つの答えを出しました。この研究では高LET放射線は抗腫瘍効果を高めることができつつ、正常組織障害のリスクは上昇させないことを示唆する結果でした。QST病院で進めているマルチイオン照射の妥当性を支持する重要な成果です。
Radiotherapy and Oncology
doi: 10.1016/j.radonc.2022.10.008
著者の顔画像小此木 範之先生
15 MARCH 2023
An Asian Multi-National, Multi-Institutional, Retrospective Study on Image-Guided Brachytherapy in Cervical Adenocarcinoma and Adenosquamous Carcinoma
論文画像
子宮頸癌と一口に言っても、扁平上皮癌と腺癌で予後は大きく異なります。予後不良とされる子宮頸部腺癌に対して、画像誘導小線源治療の有効性はどの程度なのか、多施設・多国間の研究者と共に論文としてまとめました。小線源治療前までの腫瘍縮小率が予後に影響することが示され、一方で、病巣への線量と局所制御率は関連しないことも示唆され、子宮頸部腺癌に対する治療戦略を考える上で、興味深い結果となりました。執筆を通じて、他施設の先生の治療哲学を知る機会となり、思い出に残る一編となりました。
Journal of Contemporary Brachytherapy
doi: 10.5114/jcb.2022.119451
著者の顔画像柴 慎太郎先生
04 MARCH 2023
RT with H2O2 Gauze Bolus for Breast Cancer Involving the Skin Surface
論文画像
羽生総合病院では2018年よりTomotherapyを導入し放射線治療を開始しました。H2O2は以前より放射線増感効果があることが知られていましたが、近年英国でRT+H2O2の臨床試験が行われ良好な結果が得られた(こちらはH2O2を腫瘍に局注する方法です)ことで再度注目を集めています。本論文ではH2O2を局注ではなくガーゼに染み込ませて腫瘍の上に乗せるだけという比較的簡便で安全な方法で放射線治療と併用した症例を報告しました。適応がありそうな方がいたら検討してみるのもありかと思います。
Advances in Radiation Oncology
doi: 10.1016/j.adro.2022.100894
著者の顔画像岩永 素太郎先生
21 FEBRUARY 2023
Doble-Layer Omics of Castration- and X-Ray-Resistant Prostate Cancer Cells
論文画像
アンドロゲン除去により作出された去勢抵抗性・前立腺癌細胞株はX線に対して抵抗性を示す一方で重粒子線に対しては親株と同等の感受性を示しました。この感受性の差を検討するためにDNA解析とRNA解析を行った結果、AR遺伝子の変異や酸化ストレス軽減に関わるNRF2経路の関与が示唆されました。X線抵抗性腫瘍を重粒子線治療で克服できるかもしれないという、臨床につながる研究成果を得ることができました。いろんな方々のご支援の結果、やっと学位論文として発表することができました。本当にありがとうございました。
Journal of Radiation Research
doi:10.1093/jrr/rrac022
著者の顔画像田代 睦先生
10 FEBRUARY 2023
LET-Independent Calibration of Radio-Chromic Film for Carbon-Ion Beams
論文画像
平面の線量分布測定にEBT3などのGafchromic Filmが使われますが、反射読み取り型のRTQA2フィルムが本学の婦人科用スペーサー内の照射確認に使われています。4.8Gy (RBE)に限定した照射確認用としてこのフィルムの炭素線線量応答を調べたところ、EBT3に比べてLET依存性がかなり小さいことがわかりました。そこで、LET依存性を無視した線形関係で校正すると、SOBP内での物理線量範囲では5%以内の精度で線量が定量でき、MLCによる照射野エッジ位置については0.4mmの精度が確認できました。スペーサー内フィルムの定量的な評価が可能となります。
Physics and Imaging in Radiation Oncology
doi:10.1016/j.phro.2022.08.001
著者の顔画像Zhang Shenke先生
30 JANUARY 2023
A New Partial Gravity Simulator based on a Pully-Spring System
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火星や月の低重力レベルが地球上の人間の健康に及ぼす影響をより簡単に調査できるようにするため、模擬的な部分重力装置をベースにした新しい滑車システムを開発しました。この装置で処理したラットの下肢骨をCTでスキャンしたところ、これまでの低重力装置を用いた場合と同様の骨パラメータが得られました。本論文では、私たちの開発した新しいデバイス独自の利点について報告しました。
Frontiers in Cell and Developmental Biology
doi:10.3389/fcell.2022.965656
著者の顔画像柴 慎太郎先生
19 JANUARY 2023
Re-Irradiation with C-ion RT for Rectal Cancer after Preoperative CRT
論文画像
直腸癌術後骨盤内再発に対する重粒子線治療は良好な治療成績を示し、当院やQST病院から前向き試験の報告が、J-CROSからは多施設共同試験が報告されています。これらの報告は初回放射線治療の方を対象とした報告で、術前化学放射線治療後の再照射の報告は少なかったです。この論文の結果は、少ない症例ながら、初回重粒子線治療と安全性、有効性ともにほぼ同等と言えるものでした。再照射は全くできないと思われている方もいると思いますので、再照射のデータを出していくことは大事かなと思っています。
In Vivo
doi:10.21873/invivo.12983
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