main-image-research

新着論文紹介

著者の顔画像小此木 範之先生
28 NOVEMBER 2023
Phase Ib Study of Durvalumab (MEDI4736) in Combination with Carbon-Ion Radiotherapy and Weekly Cisplatin for Patients with Locally Advanced Cervical Cancer (DECISION Study): The Early Safety and Efficacy Results
論文画像
医者として研究を続ける動機は、患者さんのために「より良い治療方法を開発すること」にあります。様々な人の力を借りながら「局所進行子宮頸がん対する重粒子線治療と免疫チェックポイント阻害薬の同時併用」の第Ⅰ相試験を世界で初めて行い、その初期結果を報告しました。今回の成果を受けて、今後、この治療方法の意義が、より多くの患者さんで実証されることを願っています。このプロジェクトは、医学の世界では、小さな一歩に過ぎません。ただ、これまで学んだ知識や経験を生かした仕事として、私は誇りを持っています。
International Journal of Molecular Sciences
doi: 10.3390/ijms241310565
著者の顔画像武者 篤先生
18 NOVEMBER 2023
Images of Internal Jugular Vein Invasion in Undifferentiated Pleomorphic Sarcoma
論文画像
頭頸部領域のundifferentiated pleomorphic sarcomaは治療に難渋する疾患の一つです。病状の進展契機として肺への転移が最も多いとされています。過去に血管壁など血管自体への転移の報告はありませんでしたが、本症例では内頸静脈への浸潤を強く疑う特徴的な画像所見を確認したため、本疾患の新しい知見として報告しました。
Practical Radiation Oncology
doi: 10.1016/j.prro.2023.03.008.
著者の顔画像穴倉 麻衣先生
08 NOVEMBER 2023
For Optimization of Carbon Ion Radiotherapy Plan
論文画像
重粒子線の殺細胞効果はLET(線エネルギー付与)に依存することが実験で分かっていますが、汎用的な分析ツールがないため、LETが臨床転帰にどのように影響しているのかは十分に評価されてきませんでした。そこで私はLET分析プログラムの開発に取り組み、その結果を学位論文としてまとめました。このプログラムを使って得られる知見が、重粒子線治療計画の最適化の一助になれば幸いです。尾池先生はじめ、ご指導いただきました先生方に厚く御礼申し上げます。
Anticancer Research
doi: 10.21873/anticanres.16468
著者の顔画像柴 慎太郎先生
29 OCTOBER 2023
RBE Values of Spot-scanning PBT at Shonan Kamakura General Hospital
論文画像
湘南鎌倉総合病院に設置された陽子線治療装置の殺細胞効果を確認した実験の結果をまとめた論文です。他施設と同様にちゃんとした陽子線が出ていることが確認できました。この論文に関して新しい知見はほとんどありません。どちらかというと湘南鎌倉総合病院で放射線治療の生物実験ができるか確認する目的で行った実験を、「どうせだったら論文にしよう」と思い書きました。生物実験をやるのが初めてというスタッフがほとんどの中、無事結果を出せたので良い経験になったと思います。
In Vivo
doi: 10.21873/invivo.13175
著者の顔画像髙草木 陽介先生
19 OCTOBER 2023
CIRT for Prostate Cancer After Rectal Cancer Surgery
論文画像
直腸癌の手術歴のある前立腺癌患者では、治療方法は意外と限られています。骨盤内手術の既往によって前立腺癌に対する根治切除は適応外となるため、放射線治療が有望と思われますが、こうした症例に対する放射線治療の報告は少ないのが現状です。そこで、当院での直腸癌の手術歴のある前立腺癌に対する重粒子線治療の成績を調べました。過去の研究と単純に比較はできませんが、直腸癌の手術歴があると晩期の直腸出血の頻度はやはり高くなる可能性がありそうです。しかし、重篤な毒性は認められず、治療の選択肢には十分なり得ると考えられました。
Anticancer Research
doi:10.21873/anticanres.16435
著者の顔画像尾池 貴洋先生
07 OCTOBER 2023
Screaming for Vengeance
論文画像
いくつかの雑誌に蹴られた後、知らない雑誌にtransferを勧められました。軽音出身の私にはこれ(アイキャッチ画像ご参照)しか思い浮かびませんでしたが、名盤なのでまあいっか、と投稿をポチったところ10ヶ月放置された挙げ句にアクセプトされました。オンラインジャーナルが乱立し、ボランティアに基づくピアレビューシステムが崩壊しつつあると感じています。論文内容は新規オンコメタボライトであるクレアチンリボシドの照射後血中動態を初報告したものです。
Heliyon
doi:10.1016/j.heliyon.2023.e16684
著者の顔画像武者 篤先生
29 SEPTEMBER 2023
Immune Checkpoint Inhibitor for Recurrent Head and Neck Mucosal Melanoma Post-Carbon-Ion Radiotherapy
論文画像
頭頸部悪性黒色腫に対する重粒子線治療の成績は、局所制御率こそ良好な成績でしたが、遠隔転移の発生が生存率を下げる大きな原因とされていました。2014年に免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が発表され、悪性腫瘍全般に対する他治療困難や遠隔転移に対しても戦える望みが出てきました。本報告では頭頸部悪性黒色腫に対する重粒子線治療後に不幸にも再発・転移が生じた際、ICIがどの程度応用され、どのような効果があったのかを解析しています。重粒子線治療で局所制御され遠隔転移が生じても、ICIによって予後良好な症例も散見され、併用療法の可能性を期待できる結果でした。今後は前向き試験による、より詳細な報告が待たれます。
Cancer Reports
doi: 10.1002/cnr2.1825