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論文紹介

著者の顔画像柴 慎太郎先生
17 MARCH 2024
Five-Year Outcomes of GUNMA 0801
論文画像
群馬大学で行われた直腸癌術後骨盤内再発に対する重粒子線治療の前向き試験の長期経過観察の結果をまとめました。登録患者28人中27人の経過を追えていて素晴らしい結果が出ていると思います。この論文を作成するにあたり、共著者に入れることができなかったたくさんの方の御協力がありました。この場を借りて御礼申し上げます。左の写真は5年前のもので、論文のタイトルが5年だったので使ってみました。自分が大好きというわけではございません。
Clinical and Translational Radiation Oncology
doi:10.1016/j.ctro.2023.100701.
著者の顔画像柴 慎太郎先生
26 FEBRUARY 2024
Everyone Has Their Own Taste
論文画像
日本における重粒子線治療の線量分布はHSG細胞のRBEをベースに作られています。しかし、RBEは細胞固有の値であるため、放射線抵抗性腫瘍ではHSGベースで作成された線量分布と異なる線量分布となっている可能性があると思い、研究しました。“Everyone has their own taste”は十人十色という意味です。十人十色というほど大それたことはやっていませんが、細胞ごとにいろんな可能性があるということですかね。
Anticancer Research
doi:10.21873/anticanres.16684.
著者の顔画像久保 亘輝先生
06 FEBRUARY 2024
Real World Data for Carbon Ion Radiotherapy for Operable NSCLC
論文画像
国内で重粒子線で治療された手術可能なI期肺癌のデータをまとめました。左の図が本論文における重粒子線治療成績と、手術成績の比較です。結果、ほぼ同等でした。これまでX線の定位放射線治療に関しては、選ばれた患者さんを対象とする臨床試験では手術と同等の成績を示すものの、リアルワールドではやや手術に劣る報告ばかりでした。そんな中で、今回、重粒子線治療のリアルワールド(国内で治療された全症例)でこのような好成績を示すことができたのは、重粒子線治療だけでなく放射線治療全体にとっても意義深いことだと思います。
Journal of Thoracic Oncology
doi: 10.1016/j.jtho.2023.10.016
著者の顔画像安達 拓也先生
07 JANUARY 2024
Liver Hypertrophy after Partial Liver Irradiation in Rats
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部分肝照射後に照射肝が萎縮することは知られていますが、非照射肝の反応はあまり知られていません。今回の研究で、ラット肝の70%に対するX線60 Gyの単回照射は、非照射肝の肝細胞増殖を刺激して肝肥大を誘発し、肝全体が一定の体積に維持されることが示されました。肝臓の驚くべき恒常性が示されるとともに、この結果を通じて放射線の影響から正常肝を守る新しい方法が見つかることが期待されます。髙橋教授、吉田先生、渋谷先生をはじめ、ご指導いただいた先生方に感謝いたします。
Journal of Radiation Research
doi: 10.1093/jrr/rrad051
著者の顔画像Jing-Ni Chen先生
28 DECEMBER 2023
Is It Possible to Evaluate Dose Distributions without Additional CT Scans?
論文画像
Our in-house divided-volume matching (DVM) software generated DVM CTs based on the existing resources, the planning CT, and orthogonal 2D setup images routinely taken at the patient positioning. Therefore, DVM CT was expected to reflect patients' anatomical structures at the positioning. Evaluating daily dose distributions without additional CT scans by the DVM technique was shown to be feasible in CIRT for liver tumors. This technology provides a promising solution to CT-less evaluation of daily dose distribution and requires further development.
Physics in Medicine & Biology
doi:10.1088/1361-6560/acfc93
著者の顔画像岡田 光平先生
18 DECEMBER 2023
The Efficacy of “Quad Shot” Regimen in Cutaneous Metastasis
論文画像
Quad Shotとは、1回3.5 Gyの照射を1日2回ずつ2日間行うのを1コースとし、3~6週おきに3コースまで繰り返すという緩和照射のレジメンです。まだ一般的には普及していませんが、急性期の副作用を軽度にとどめつつ高い割合で腫瘍縮小、症状緩和を得られる照射法として、近年注目されています。自治医大ではこれまで、おもに頭頚部領域の緩和照射において、積極的にQuad Shotを用いてきました。今回、耳下腺癌からの広範な胸壁皮膚転移に対して同様の照射を行い、良好な効果を得ることができたので、症例報告にまとめました。
Clinical Case Reports
doi: 10.1002/ccr3.7687.
著者の顔画像小此木 範之先生
08 DECEMBER 2023
Significance of Hypofractionated Radiotherapy in Postoperative Irradiation for Breast Cancer: An Asian Multi-institutional Prospective Study
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群馬大学腫瘍放射線学教室では、放射線医学を通じた国際貢献事業を継続的に行なっています。群馬大学、同門の先生、他大学の先生と協力して、アジア地域の放射線治療の質を向上させるためのプロジェクトを行っており、その一つがFNCA Radiation Oncologyです。この研究は、そのプロジェクトの中の、乳癌の術後照射の研究です。従来、標準であった5週間の放射線治療ではなく、3週間余りの放射線治療が、効果的で安全であることを確認した研究です。アジアの中でも罹患者数が多い乳癌で、放射線治療の短期化に問題ない事を「アジア多国間の仲間(左)で共に実証した」点に重要な意味があると考えています。
Clinical Oncology
doi: 10.1016/j.clon.2023.04.007
著者の顔画像小此木 範之先生
28 NOVEMBER 2023
Phase Ib Study of Durvalumab (MEDI4736) in Combination with Carbon-Ion Radiotherapy and Weekly Cisplatin for Patients with Locally Advanced Cervical Cancer (DECISION Study): The Early Safety and Efficacy Results
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医者として研究を続ける動機は、患者さんのために「より良い治療方法を開発すること」にあります。様々な人の力を借りながら「局所進行子宮頸がん対する重粒子線治療と免疫チェックポイント阻害薬の同時併用」の第Ⅰ相試験を世界で初めて行い、その初期結果を報告しました。今回の成果を受けて、今後、この治療方法の意義が、より多くの患者さんで実証されることを願っています。このプロジェクトは、医学の世界では、小さな一歩に過ぎません。ただ、これまで学んだ知識や経験を生かした仕事として、私は誇りを持っています。
International Journal of Molecular Sciences
doi: 10.3390/ijms241310565
著者の顔画像武者 篤先生
18 NOVEMBER 2023
Images of Internal Jugular Vein Invasion in Undifferentiated Pleomorphic Sarcoma
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頭頸部領域のundifferentiated pleomorphic sarcomaは治療に難渋する疾患の一つです。病状の進展契機として肺への転移が最も多いとされています。過去に血管壁など血管自体への転移の報告はありませんでしたが、本症例では内頸静脈への浸潤を強く疑う特徴的な画像所見を確認したため、本疾患の新しい知見として報告しました。
Practical Radiation Oncology
doi: 10.1016/j.prro.2023.03.008.
著者の顔画像穴倉 麻衣先生
08 NOVEMBER 2023
For Optimization of Carbon Ion Radiotherapy Plan
論文画像
重粒子線の殺細胞効果はLET(線エネルギー付与)に依存することが実験で分かっていますが、汎用的な分析ツールがないため、LETが臨床転帰にどのように影響しているのかは十分に評価されてきませんでした。そこで私はLET分析プログラムの開発に取り組み、その結果を学位論文としてまとめました。このプログラムを使って得られる知見が、重粒子線治療計画の最適化の一助になれば幸いです。尾池先生はじめ、ご指導いただきました先生方に厚く御礼申し上げます。
Anticancer Research
doi: 10.21873/anticanres.16468
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