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論文紹介

著者の顔画像早川 沙羅先生
14 MAY 2022
Safety of Chemoradiotherapy for Pancreatic Cancer in Patients with Biliary Stent
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膵癌の患者さんは黄疸を契機に発見される方が少なくありません。その場合はまず胆管ステントを入れ、黄疸が改善してから治療を行います。黄疸の改善には局所制御が重要なため、化学放射線治療(CRT)は重要な治療モダリティですが、胆管ステントと放射線治療の併用の安全性についてはこれまでにまとまった報告がありませんでした。この研究では胆管ステント留置後にCRTを行った30人の患者さんを解析し、併用による明らかな毒性の増加はなかったことを報告しました。
Journal of Gastrointestinal Oncology
doi: 10.21037/jgo-21-198
著者の顔画像熊澤 琢也先生
07 MAY 2022
Post-RT Ku80 Expression Correlates Negatively with PD-L1 Expression in Cancers
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近年免疫チェックポイント阻害剤が広く使われつつあり、免疫療法はがん治療においてとてもHotな分野として注目されています。以前より放射線治療と免疫療法の相性はいいのではと言われていましたが、まだまだ詳しいメカニズムはわかっていません。2017年に放射線照射後にPD-L1が発現するメカニズムを、現在アメリカ留学中の当科佐藤浩央先生が発表して業界に衝撃を与えましたが、この論文はそのメカニズムが実際に放射線治療を受けた患者さんで起きている可能性を世界で初めて示したものです。よく医学分野の研究は基礎と臨床の両輪で進んでいくと言われますが、車輪をつなぐ軸があると、より安定して進めるのかなと思いました。
Oncology Letters
doi: 10.3892/ol.2021.13147
著者の顔画像深田 恭平先生
30 APRIL 2022
Which Is Safer for the Rectum: Carbon-Ion Radiation Therapy or IMRT?
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群馬大学では重粒子でも光子でも前立腺がんへの治療を行っていました。このような施設は他にないので、直腸の有害事象に着目して両モダリティを直接比較するとどうなるかを調査しました。線量分布(DVH)やNTCPモデル計算を比較した結果、重粒子の方が直腸に優しいであろうことが予想されました。ところが、実臨床の結果としては両モダリティの直腸有害事象の頻度に有意差は見られませんでした。他の文献と比較すると、群馬大学の光子線治療(IMRT)の有害事象の発生率がとても少ないことが差が出なかった原因だと考えられました。私事ですが、昨年末より医療AIのスタートアップで働いています。拠点であるWeWorkは毎日生ビールが飲み放題なので、都内へお越しの際には是非お声がけください。
Physica Medica
doi:10.1016/j.ejmp.2021.08.013
著者の顔画像大西 真弘先生
23 APRIL 2022
IMRT with Simultaneous Integrated Boost for cN1 Prostate Cancer
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従来、cN1前立腺癌は予後不良としてホルモン療法などの非根治治療が標準的でしたが、日高病院では強度変調放射線治療の利点を活かし、根治を目指した治療を行ってきました。歴代の先生方が丁寧にフォローして下さったおかげで、長期の治療成績をまとめることが出来、 5年非生化学的非再発率85%、5年生存率93%という良好な結果が得られました。近年では海外からもcN1前立腺癌に対する局所治療の有用性が示されていますが、自施設の成績をまとめたことで、より自信を持って治療をお勧めできるようになりました。
Cancers
doi: 10.3390/cancers13153868
著者の顔画像尾池 貴洋先生
16 APRIL 2022
Poor Man's Heavy Ion?
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十数年前、放射線科に入ったばかりの頃、学会の教育講演で「貧者の重粒子」というパワーフレーズが耳に飛び込んできました。過酸化水素による光子線増感であると。時は流れ、自分の手でその効果を実感することができたので、症例報告として発表しました。一方で同法には手技の個別最適化のための生物学的基盤情報が不足していると感じているため、研究に着手したところです。
Cureus
doi:10.7759/cureus.19167
著者の顔画像武者 篤先生
09 APRIL 2022
Relationship between Oral Mucositis and Oral Bacterial Count?
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皆さんは放射線性口腔粘膜炎は、口腔内の汚れで発症・悪化しやすいと思いますか? 頭頚部の重粒子線治療患者を対象に口腔内細菌数と口腔粘膜炎に関して前向き試験を行うと、細菌数が多い人は少ない人に比べて早期に口腔粘膜炎が発症し、治癒は遅延する傾向でした。一般的な放射線治療においても、口が照射野に入る(口腔粘膜炎がでそうな)患者さんは放射線治療の前はもちろん、治療中に積極的な口腔清掃を行う意義はありそうです。
Radiotherapy and Oncology
doi: 10.1016/j.radonc.2021.12.010
著者の顔画像大須 直人先生
02 APRIL 2022
Metabolic Alteration in Cancer Cells by Therapeutic Carbon Ions
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がん細胞に重粒子を当てると、どんな変化が生じるのか?そんな素朴な疑問を検証したこのプロジェクト。もともとは大学院プログラムの一環で国立がん研究センター鶴岡連携研究拠点でインターンシップを行なったことがきっかけでした。行なった実験や研究成果は決して大それたものではありませんでしたが、細胞実験・解析・論文作成どれも自分がはじめて主導権を握って行えたと実感しました。そういう意味では1本目の論文よりも強く”研究者としての始まり”を感じた論文です。共同研究者としてご協力いただいた国立がんセンター鶴岡連携研究拠点の皆様に深く感謝いたします。
Anticancer Research
doi: 10.21873/anticanres.15421
著者の顔画像柴 慎太郎先生
26 MARCH 2022
Deterioration of Pancreatic Exocrine Function in C-ion RT
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腹部の放射線治療で膵臓をOARとして線量評価することや、膵機能の変化を観察することは少ないと思います。今回、膵癌に対する重粒子線治療で膵外分泌機能がどのように変化するかを観察しました。その結果、照射後早期、場合によっては照射期間中から外分泌機能が低下すること、DVH解析から低線量が膵外分泌機能に影響を及ぼしていることがわかりました。あまり膵臓はOARとして注目されませんが、たまには見てあげてください。
Clinical and Translational Radiation Oncology
doi: 10.1016/j.ctro.2021.09.007.
著者の顔画像岡野 奈緒子先生
19 MARCH 2022
Challenge for High-Risk Cases – CIRT for Stage I NSCLC with IP
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重粒子線治療が今まで治療を諦めざるを得なかったハイリスク患者さんにとっての希望になってほしいというのは我々の願いだと思います。大学院卒業からずいぶん時間がかかりましたが、久保先生をはじめ多くの先生にご指導いただき、ようやく臨床の論文を書くことができました。仕事と家庭の両立を説得力をもって語るには、結果を目に見える形にする必要性を感じていたので、仕事が一つの形となりホッとしています。これからそんな未来を想像している方、今その真っ只中でもがいている方へのエールになれば嬉しいです。
Cancers
doi: 10.3390/cancers13164204
著者の顔画像柴 慎太郎先生
12 MARCH 2022
Carbon-Ion Radiotherapy for Rectal Cancer with a Huge Pelvic Tumor
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消化管を巻き込んでいる巨大な直腸癌の骨盤内再発患者に重粒子線治療を行ったところ、消化管の有害事象なく、著効(complete response!!)し、長期生存を得られたという症例報告です。「重粒子ってすごいんだな」と改めて思う一例でした。正直言って、衝撃的です。Figureだけでも見てみてください。
Advances in Radiation Oncology
doi: 10.1016/j.adro.2021.100774