main-image-treatment

光子線治療

光子線治療(X線、電子線)は全身の様々ながん腫に対して、根治目的はもちろん、症状緩和目的など幅広い用途でがん治療に用いられます。「放射線治療」というと一般的には光子線治療を指し、日本国内各地に普及しています。


群馬大学放射線科というと重粒子線治療や小線源治療が有名ですが、光子線治療にも力を注いでおり、これまでに約60年にわたり、数多くの患者さんを治療してきました。現在も年間650人ほど(重粒子線治療を除く)を治療しています。

光子線治療では直線加速器(リニアック)という機械を使用しています。例えば、X線治療を行う際には、直線加速器の中で電子を加速し、それをタングステンなどのターゲットに当ててできるX線を病巣に照射しています。当院には3台の直線加速器(Oncor©, Synergy©, Trilogy©)が設置されており、疾患や照射方法などによって使い分けて治療を行っています。

強度変調放射線治療(Intensity modulated radiation therapy: IMRT)や体幹部定位放射線治療(Stereotactic body radiation therapy: SBRT)などの高精度放射線治療から全身照射(Total body irradiation: TBI)などの特殊な放射線治療まで幅広い放射線治療を行っています。

一方で、疾患や病状によって、Cyberknife© (近隣では前橋赤十字病院や関東脳神経外科病院)やTomothrapy© (近隣では日高病院)などの高精度放射線治療により特化した治療器を使用した方が良いと考えられる患者さんには、近隣の医療機関と連携してそのような高精度放射線治療を提供できるような体制が整えられています。


光子線治療の治療計画は全て放射線科内カンファレンスで討議、承認が行われます。1つの治療計画を全員が確認することで治療の質を担保するとともに、フィードバックを通して若手医師を一人前の放射線腫瘍医に育成します。

日本国内各地に普及している最も一般的な治療法だからこそ、国内の放射線治療のトップランナーである自負を持って患者さん1人1人に高品質な放射線治療を提供できるよう心がけています。



若手医師からのメッセージ

光子線治療は根治は勿論、疼痛などの症状緩和まで、多岐に渡ってがん治療に用いられており、様々な場面で患者さんに貢献できる治療であると思います。

群馬大学放射線科では、若手のうちから外来に出て新患を担当したり、治療計画を立てたりする機会に恵まれています。また、放射線科内のカンファレンスでは治療計画毎にフィードバックが得られ、日々研鑽を積むことができます。治療計画装置にはいくつか種類があり、それぞれで治療計画を作れるようになるまで初めは少し大変かもしれませんが、慣れてしまえば、他院での治療計画にも対応できるようになります。

若手のうちから治療に広く関わることができ、また研鑽を積める環境があり、非常にやりがいを感じています。

平成31年入局 穴倉 麻衣 先生