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論文紹介

著者の顔画像柴 慎太郎先生
01 JANUARY 2022
G-CSF Producing Uterine Cervical Cancer Treated with Chemoradiotherapy
論文画像
G-CSF産生子宮頸癌という比較的稀な疾患に対して化学放射線治療を行ない、aggressiveな腫瘍にもかかわらず照射範囲内の制御を得られたという報告です。この方は、私が入局1年目すぐに治療を行なった方で、治療期間中ここでは書き尽くせないくらい色々なことがあり、勉強させていただきました。今後も、患者さんから学ばせていただくという気持ちを忘れずに頑張っていきます。
Clinical Case Reports
doi: 10.1002/ccr3.3495.
著者の顔画像Li Yang先生
25 DECEMBER 2021
Adaptive Planning in Carbon Ion Radiotherapy for Pancreatic Cancer
論文画像
粒子線治療においては、消化管の影響のために対象部位の線量分布に大きな不確実性を生じることがあります。今回解析した結果、骨照合を用いたターゲットの累積線量は治療計画時と比較して17%も低下し、腫瘍照合を用いたとしても10%低下することが明らかになりました。この知見は、膵臓癌への重粒子線治療は、単一の放射線治療計画を用いた場合、日々の解剖学的変化の影響により目標線量を投与できない場合があることを示唆します。この課題を解決するために、治療当日にCTを撮影し同画像上の解剖学的情報に基づいて治療計画を修正するアダプティブ放射線治療法を開発中です。
Radiation Oncology
doi:10.1186/s13014-021-01841-2
著者の顔画像阿部 孝憲先生
18 DECEMBER 2021
Feasibility of IMRT with Involved Field Radiotherapy for Japanese Patients with Locally Advanced Non-Small Cell Lung Cancer
論文画像
日本人の局所進行非小細胞肺癌患者に対する強度変調放射線治療の報告です。欧米ではおそらくこの病気に対する強度変調放射線治療のことを報告しても「すでにみんなやってるよね、たったの20例で論文化?」で終わりだと思いますが、日本ではまだあまり行われていないので論文化できました。査読で引っ掛けて下さったReviewerの先生に感謝したいと思います。
Journal of Radiation Research
doi:10.1093/jrr/rrab063
著者の顔画像富澤 建斗先生
11 DECEMBER 2021
Rectovaginal Fistula in Cervical Cancer Patient Treated with Sequential Radiotherapy and Bevacizumab
論文画像
放射線治療は「患者さんに優しい治療」というイメージがあると思います。実際、私達治療医も患者さんへの侵襲が少なくなるよう工夫しております。しかし、時に重篤な合併症が出てしまうことも事実です。今回は、大変有用ではあるものの、放射線治療と組み合わせると場合によっては合併症のリスクが上がるベバシズマブという薬剤の使用により直腸腟瘻をきたした症例を報告しました。治療を選択する上で、治すことだけではなく、患者さんにとってのリスクもきちんと考慮することの重要性を再確認した一例でした。
Clinical Case Reports
doi: 10.1002/ccr3.3955
著者の顔画像吉田 大作先生
04 DECEMBER 2021
Comparison of Dose Distribution Between VMAT-SBRT and Scanning Carbon-ion Radiotherapy for Early-stage NSCLC
論文画像
若手の皆様の活躍に触発され、久方ぶりに論文執筆してみました。Scanning法による重粒子線治療(sCIRT)と強度変調回転放射線照射法による体幹部定位照射(VMAT-SBRT)の線量分布を比較しました。いずれも当院で臨床活用している最新の照射方法です。重粒子線治療は依然低線量領域において優位性を維持していることが確認できました。これからも、梅垣賞をいただける日を夢見て頑張っていきたいと思います。
Anticancer Research
doi:10.21873/anticanres.15270
著者の顔画像宮坂 勇平先生
27 NOVEMBER 2021
Carbon-ion RT for Prostate Cancer with Bladder Invasion
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膀胱に浸潤する前立腺癌の根治的治療は確立された標準療法がありません。群馬大学ではそのような病態の前立腺癌に対してもホルモン療法を併用し重粒子線治療を行なっています。この論文は少数症例の報告ですが、通常の前立腺癌と概ね同等の有効性、安全性が確認されました。前立腺癌は高齢者に多い疾患ですから、進行した病態であっても低侵襲な治療で高い治療効果が得られる可能性が示されたことは意義が大きいと思われます。今後も症例を蓄積し検討を重ねていく予定です。
BMC Urology
doi: 10.1186/s12894-021-00871-y
著者の顔画像小林 なお先生
20 NOVEMBER 2021
Colorectal Cancer Screening for Prostate Cancer Patients
論文画像
大腸癌検診は死亡率を低下させることが科学的に証明されています。検診内容は便潜血検査によるスクリーニングと、大腸内視鏡による精密検査が一般的で、年1回の受診が勧められています。その一方で前立腺癌に対する重粒子線治療の副作用に放射線直腸炎があり、大腸内視鏡の操作は炎症を悪化させる可能性があります。そこで群馬大学では前立腺癌の重粒子線治療前に大腸癌スクリーニングを行ってきました。2412例の結果をまとめてみると前立腺癌患者における大腸癌罹患率が一般人口のそれより高いことがわかりました。
Cancers
doi:10.3390/cancers13174481
著者の顔画像小此木 範之先生
13 NOVEMBER 2021
Multi-Institutional Retrospective Analysis of Carbon-Ion Radiotherapy for Patients with Locally Advanced Adenocarcinoma of the Uterine Cervix
論文画像
臨床研究のひとつのゴールは「標準的治療をより良いものに代えること」です。ひとつの治療方法が標準的治療となるまで、多くの医師、研究者、そして患者さんの献身が必要です。しかし、数多くの臨床試験が世界中で行われる中で、実際に標準的治療となる臨床試験はごく僅かと言われています。1994年に臨床応用が開始された重粒子線治療は、2016年以降、いくつかの疾患において公的保険が適用され、標準的治療となりました。子宮頸部腺癌への重粒子線治療が、今、そのチャンスを迎えています。
Cancers
doi: 10.3390/cancers13112713.
著者の顔画像武者 篤先生
06 NOVEMBER 2021
Carbon Ion Radiation-Induced Osteoradionecrosis of Mandible
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放射線性骨髄炎は痛みのコントロールに苦慮する晩期有害事象の一つです。骨髄炎は重粒子線治療においてもX線治療と同様に発症しますが、これまでに「下顎骨」に焦点をあてた検討はありませんでした。本研究は重粒子線治療後の下顎骨骨髄炎の発症時期・線量・特徴的な画像所見などについて報告しています。今後の発症予防の線量指標となるだけでなく、介入時期についても提言しています。
Radiotherapy and Oncology
doi: 10.1016/j.radonc.2021.06.022
著者の顔画像小松 秀一郎先生
30 OCTOBER 2021
QOL and Functional Outcomes after CIRT for Inoperable Sarcomas
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自身初の臨床論文です。群大重粒子線医学研究センターにおける切除不能骨軟部腫瘍に対する根治的重粒子線治療後のQOLについてまとめた論文です。重粒子線治療後に身体的なQOLは有意な低下を認めず、精神的なQOLは向上することを示すことができました。この分野の研究報告は大変希少で、「目の前の患者さんが重粒子線治療による根治後にどのように日常生活を営むことができるのか?」という日常臨床における切実なClinical Questionに対して一片の回答となれば嬉しい限りです。
Cancers
doi:10.3390/cancers13112591
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