メインイメージ

2016年

近況報告:岩永 素太郎先生(関東脳神経外科)

レジデント便り

皆様、こんにちは。今年度で医師4年目になりました岩永素太郎と申します。前回寄稿したのが入局挨拶だったので1年3ヶ月ぶりになります。医師3年目(入局1年目)より関東脳神経外科病院サイバーナイフセンターで勤務しているので、こちらもほぼ同じ期間となる1年4ヶ月になりました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、今の職場で常勤医は私一人です。医師3年目になるときに一人常勤医として勤めるように言われた時は正直何かの冗談かと思いましたが、今では「センター長」と皆様に呼ばれるまでになりました(正確にはセンター長は現在空席であり、私はセンター長ではありません)今回はこのような機会をいただいたので、皆様に是非サイバーナイフについて知っていただきたいと思っています。

サイバーナイフでは一体何ができるのか?まだ答えは完全にはわかっていません。一般的には脳転移などの頭蓋内病変に対しての治療に多く使われています。その他では頭頸部病変や肺癌、肝癌などが適応となっており、今年度より前立腺癌に対しても定位照射の保険適応となりました。当院では脳、頭頸部の他にも腹部リンパ節転移などの病変に対しても治療を行っています。特に、最近は放射線治療後の照射野内再発など既存の方法では治療が難しい症例に対して外勤で来ていただいている先生方と協議しながら取り組んでいます。

サイバーナイフの特徴は多方向から5mm〜60mmの細いBeamを照射できる点と継時的な追尾機能がある点です。治療計画としては、線量集中性が高くリスク臓器を避けることが可能だと考えられています。また、病変に対しての線量分布では中心点が非常に高線量となります。例えば、当院における基本的な脳転移の計画ではTargetの辺縁に20Gyを処方しますが、中心点は40Gy程度が照射されるようになります。Target内の均質性を求める一般的な放射線治療とは違い、分布上は小線源に近い治療であると考えています。以上の特徴より腫瘍制御の向上と有害事象の低減の両立が可能であると考えています。

しかしながら、サイバーナイフはあまり普及していません。ひとつには今までサイバーナイフを扱っていた医師の多くが脳外科医であった点があると思います。現在では徐々に放射線治療医が携わる施設が増え、先述したように適応も体幹部に拡大されてきました。しかし、まだ未知のことも多く、今後Evidenceを積み重ねていくことが求められています。私も赴任してから今までに様々な学会や研究会で6回ほどサイバーナイフに関わる発表をさせていただきました。また、日々の診療では群馬大学をはじめ関連病院より多くの症例をご紹介いただき、微力ですが私なりに皆様のお役に立てているのではないかと自負しております。そういった意味で特に若手の先生には大変魅力的な分野なので、是非積極的に関わっていただきたいと思っています。また、日頃の臨床でお困りのことがあればお役に立てることもあると思うのでご相談いただければ幸いです。

最後にこのようなチャンスを与えていただいた中野先生とご指導いただいている先生方に感謝申し上げます。今後とも皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いします。