学会発表・受賞報告:日本放射線腫瘍学会第36回学術大会
日本放射線腫瘍学会第36回学術大会が、2023年11月30日(木)~12月2日(土)に横浜(パシフィコ横浜ノース)にて開催されました。本学会は「威風凛然」が主テーマです。「威風」は威厳に満ち溢れている様子、「凛然」は勇ましく、引き締まっている様子です。威風凛然は、威厳があり凛とした態度が表されています。本学会の大会長である茂松 直之先生は、威風凛然と振る舞うためには十分な知識と豊富な経験が必要で、その裏側には自分を信じる確固たる信念が必要であると述べています。また、威風を持つベテラン、凛然としている若手の放射線腫瘍医が存在することで、がん診療における外科医・内科医との協働が発揮されるという考えを示し、そのような人材を育てることの重要性を強調しています。
本学会では当教室・同門の先生をはじめ、関連研究室の先生や病院の看護師から多くの発表が行われました。また、Highly Cited Awardに大野達也先生が受賞されました。昨年に引き続き、白井克幸先生が優秀査読者賞を受賞されました。また、中野隆史先生がJASTRO名誉会員に選出されました。みなさま、誠におめでとうございます! 情報交換会では当教室の岩永素太郎先生(指揮)と水上達治先生(トランペット)が参加するJASTROオーケストラによる演奏が披露されました。
今回のJASTROには初期臨床研修医の先生もお誘いし、7名の先生が参加して下さりました。研修医の先生方には、学会発表で活躍する教室員の姿に、将来の自分をイメージして頂けたのではないかと思います。湘南鎌倉病院のBNCTプロジェクトを率いている柴 慎太郎先生が企画した湘南鎌倉病院の見学ツアーに参加した先生もいらっしゃいました。夜はみんなで中華街に行くなどして交流を深めました。恒例開催の懇親会「JASTRO Gunma Night」にも参加して頂き、当教室や同門の先生の情熱溢れる雰囲気を感じて頂きました。
優秀査読者賞
白井 克幸先生(自治医科大学附属病院)
Highly Cited Award
大野 達也先生(群馬大学 腫瘍放射線学講座)
JASTRO名誉会員
中野 隆史先生(量子科学技術研究開発機構)
JASTRO研究課題報告
「頭頸部癌患者における放射線治療室内の空気汚染について 」
武者 篤先生(群馬大学重粒子線医学センター/群馬大学 口腔顎顔面外科学講座)
シンポジウム・パネルディスカッション
放射線治療医の倍増を目指して1
「放射線治療医の倍増を目指して: 大学の取り組み 」
大野 達也先生(群馬大学 腫瘍放射線学講座)
緩和的放射線治療の普及啓発
座長:髙橋 健夫先生(埼玉医科大学総合医療センター 放射線腫瘍科)
「厚労科研茂松班の概要ならびに緩和的放射線治療の地域連携について」
髙橋 健夫先生(埼玉医科大学総合医療センター 放射線腫瘍科)
次世代の小線源治療を考える
座長:野田 真永先生(埼玉医科大学国際医療センター)
粒子線治療の現在
座長:櫻井 英幸先生(筑波大学医学医療系・放射線腫瘍学)
「食道癌に対する粒子線治療 」
石川 仁先生(量子科学技術研究開発機構QST病院)
「粒子線治療の医療経済評価 」
大野 達也先生(群馬大学 腫瘍放射線学講座)
「粒子線治療の新展開 -新規技術開発評価とモデルベースアプローチ- 」
秋元 哲夫先生(国立がん研究センター東病院)
学会合同シンポジウム(日本放射線影響学会) 放射線増感効果が期待できる新薬
「ICIの放射線治療への臨床応用 」
石川 仁先生(量子科学技術研究開発機構QST病院)
技師・物理士は必見 時代に取り残されるな-メタスキルで乗り越えよう-
座長:大野 達也先生(群馬大学 腫瘍放射線学講座)
学会合同シンポジウム(日本緩和医療学会)
ちょっとした工夫で状況は変えられる 緩和照射への紹介活性化のための取り組み
「緩和的放射線治療における専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデルの構築 」
髙橋 健夫先生(埼玉医科大学総合医療センター 放射線腫瘍科)
「緩和ケアをつなぐ人的ハブを活用する」
大久保 悠先生(JA長野厚生連 佐久総合病院 佐久医療センター)
がん放射線治療推進委員会特別企画
座長:石川 仁先生(量子科学技術研究開発機構QST病院)
「これからも放射線治療の需要はあるのか? 」
野田 真永(埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科)
放射線治療医の倍増を目指して2
「放射線治療医の倍増を目指して-群馬大学での工夫-」
安藤 謙先生(群馬大学医学部附属病院 放射線治療科)
セミナー
吸収性スペーサー「ネスキープ」放射線治療への適応拡大
座長:櫻井 英幸先生(筑波大学医学医療系 放射線腫瘍学)
Elekta Harmony First Clinical Experience
座長:白井 克幸先生(自治医科大学附属病院 放射線治療科)
次世代国産Oリング型IGRTシステムOXRAYが描く放射線治療の未来像
座長:秋元 哲夫先生(国立がん研究センター東病院 放射線治療科)
座長
秋元 哲夫先生(国立がん研究センター東病院 先端医療開発センター 粒子線医学開発分野):免疫放射線療法
加藤 真吾先生(埼玉医科大学・国際医療センター 放射線腫瘍科):女性生殖器
白井 克幸先生(自治医科大学附属病院 放射線治療科):前立腺
野中 哲生先生(日本赤十字社医療センター 放射線腫瘍科):オリゴ転移
加藤 弘之先生(神奈川県立がんセンター 放射線治療科):粒子線治療
若月 優先生(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 QST病院 治療診断部):女性生殖器
齋藤 淳一先生(富山大学 放射線診断・治療学 放射線腫瘍学部門):物理
要望演題
「炭素イオン線治療後の局所再発肝細胞癌に対する炭素イオン線再照射の治療成績 」
若月 優先生(量子科学技術研究開発機構 QST病院)
「深層学習を用いた対症的放射線治療後の予後予測及び予後因子の解析」
岡崎 祥平先生(群馬県立がんセンター)
「早期非小細胞肺がん重粒子線治療後の再発予測に対するCNNモデルの比較」
吉田 英恵先生(群馬大学 重粒子線医学推進機構/(株)日立製作所研究開発グループ)
「オリゴ骨転移に対する定位放射線治療に対する初期治療成績 」
白井 克幸先生(自治医科大学附属病院/自治医大さいたま医療センター)
一般口演
「転移に対する3分割定位照射の治療成績 」
村田 裕人先生(埼玉県立がんセンター 放射線治療科)
「子宮頸癌放射線治療後の不全骨折リスクと骨密度低下との関連性について 」
村田 真澄先生(群馬県立がんセンター)
「子宮頸癌の放射線治療における腫瘍体積、縮小率、合算線量と予後の関連解析 」
大高 建先生(群馬大学医学部附属病院 放射線治療科)
「子宮頸部腺癌に対する重粒子線と画像誘導小線源治療の併用療法における予後因子解析 」
安藤 謙先生(群馬大学医学部附属病院 放射線治療科)
「J-CROS多施設前向きレジストリ解析による切除不能I期肺癌に対する重粒子線治療の成績」
久保 亘輝先生(群馬大学重粒子線医学研究センター)
「肝細胞癌に対して薬物療法と重粒子線治療を併用した治療効果と安全性の報告」
小林大二郎先生(群馬大学大学院 医学系研究科 腫瘍放射線学)
「胆管癌の術後再発に対する重粒子線治療の有用性の検討 」
田村 翠先生(群馬大学大学院 腫瘍放射線学)
「炭素イオン線治療計画におけるLET推定アルゴリズムの精度向上と臨床実装 」
吉松 幸彦先生(群馬大学 腫瘍放射線学)
「TACE後の残存・再発病変に対する重粒子線治療 」
関口 慶仁先生(群馬大学重粒子線医学センター)
「広範な耳下腺癌胸壁皮膚転移に対し、QUAD SHOTレジメンによる緩和照射が奏功した1例」
岡田 光平先生(自治医科大学附属病院 放射線治療科)
「照射野外の腫瘍も退縮を示した頭皮血管肉腫の一例」
塩谷真里子先生(公立藤岡総合病院 放射線治療科)
「根治的前立腺摘除術後のIMRTによる救済放射線治療の治療成績 」
大西 真弘先生(日高病院/群馬大学大学院 医学系研究科 腫瘍放射線学)
「前立腺癌患者の放射線治療時の直腸ガスに食事指導が与える影響 」
神沼 拓也先生(独立行政法人国立病院機構渋川医療センター 高精度放射線治療センター/ 渋川医療センター 放射線治療科)
「前立腺癌以外の重粒子線治療初診患者の特徴 」
坂本 景子さん(群馬大学医学部附属病院 看護部)
「前立腺以外の重粒子線治療初診患者が治療を実施しなかった理由と背景 」
北田 陽子さん(群馬大学医学部附属病院 看護部)
「101歳の口蓋癌に対し根治的放射線単独治療を施行した1例 」
水上 達治先生(富山大学 放射線診断・治療学 放射線腫瘍学部門)
ポスター(示説)
「前立腺癌照射後の直腸出血についての相対体積(%)および絶対値(cm )を用いたDVH解析 」
持田慧史郎先生(JA長野厚生連 佐久総合病院 佐久医療センター 放射線治療科)
「サイバーナイフによる前立腺癌に対するSBRTの初期経験とSpaceOARの有用性 」
穴倉 麻衣先生(前橋赤十字病院)
「進行胃癌の出血に対する緩和的放射線治療の有効性 」
大田 哲愛先生(佐野厚生総合病院 放射線治療科/群馬大学医学部附属病院)
「III期非小細胞肺癌同時化学放射線療法後のデュルバルマブ維持療法の実臨床経験 」
齋藤 淳一先生(富山大学 放射線診断・治療学 放射線腫瘍学部門)
「当院における臨床病期IA期肺癌に対する体幹部定位放射線治療の成績について」
坂本宗一郎先生(埼玉県立がんセンター)
「I期非小細胞肺癌に対する重粒子線治療のPatient-Reported Outcomes解析」
岡野奈緒子先生(群馬大学 重粒子線医学センター)
「選択的汎FGFR阻害薬LY2874455による放射線増感 」
堀込 瑛介先生(群馬大学大学院 医学系研究科 腫瘍放射線学)
「頭頸部がん重粒子線治療における再計画を要する因子の検討」
山田 貴啓先生(群馬大学 重粒子線医学推進機構/日立製作所 研究開発グループ)
「江戸川病院におけるBNCT治療について: 特定臨床研究を含めて」
黒崎 弘正先生(江戸川病院 放射線科)