メインイメージ

2019年

学会報告記:松井利晃先生(群馬大学)

海外渡航記

 皆様、お世話になっております。入局2年目の松井 利晃です。今回は2019年アメリカ放射線腫瘍学会(ASTRO:American Society for Radiation Oncology)に参加しましたので僭越ながら報告をいたします。

 今回の学会はアメリカ合衆国イリノイ州シカゴのMcComick Placeで2019/09/15-09/18の期間に開催されました。「Innovate - Collaborate:Transform」をテーマとしており、具体的には「より専門性に特化したテーマ・シンポジウムを増やす」、「専門分野内での人と人との繋がりの形成を促進し強固にする」ことを意識し、今後3年間で継続して変革するという主旨で開催されていました。

 実際に学会に参加させていただき、上記主旨の意図を理解することができました。まず、討論を前提としたセッションが頻繁に開催されており、各会場には円卓が用意され、参加者は与えられたテーマや症例について議論し、各テーブルで出した結論をその場で発表していました。英語が拙い私には少々荷が重い内容ではございましたが、討論に積極的に参加できていない自身を認識することができ、今後の課題を見つけることができたと考えています。またポスター発表は全て電子ポスターで統一されており、決められた発表時間には1モニターに10人程度の発表者が集まり、自主的に自身の発表・討論を繰り広げるという形式で行われていました。ポスターは全てモニターを介して自由に閲覧することができる反面、自主的にポスターを選択して閲覧しなければ情報にたどり着けないものとなっており、能動的な姿勢が求められていると感じました。開会式後に行われたPresidential Symposiumの内容は「Curing Metastatic Disease with Radiotherapy: Myth or Reality(放射線療法による転移性疾患の治療:神話または現実)」という内容のシンポジウムでした。オリゴ転移に対する病態生理学・解剖学などの内容を最新知見を用いて説明し、従来行われてきた治療の評価、新たに用いられてきている治療法の紹介・その妥当性など多岐に渡る内容でした。学会の中でも最も注目されると予想されるシンポジウムの内容が、オリゴ転移に対する治療の内容であったことに私自身は意外性を感じましたが、臓器横断的に見ることができる腫瘍放射線学の強みでもある分野であることを再認識することができました。

 その他の内容では、各臓器のトピック・臨床試験などだけでなく、腫瘍免疫と放射線治療の関わりや、画像技術の応用、BigdataとDeep Learningの扱いなどについての話題など、興味深いテーマが多く充実した内容でした。

 私個人では、初めてポスター発表をさせていただき、大変貴重な経験となりました。発表にあたってご指導くださった尾池貴洋先生と大野達也先生にお礼申し上げます。

 当教室から参加したメンバーでGunma Nightを開催しシカゴの街の空気とステーキを味わい、また日本からの参加者が集まるJASTRO Nightでは他施設の参加者と交流を持つことができ有意義な時間となりました。大会全体を通して、最新の知見に触れるとともに、日常臨床における問題点について考えを深めることができ、大変勉強になりました。

以上、学会報告記でした。