FARO報告記:松井 利晃先生(群馬大学)
この度、2018年9月6日から8日インドネシアのバリ島で開催された第3回Federation of Asian Organizations for Radiation Oncology (FARO)に参加させて頂きました。本学会は2014年に立ち上げられ、アジア圏内の放射線治療の活性化、治療技術や教育の向上などを目的に、他国の放射線治療医、科学者と交流を持つことができます。群馬大学出身の諸先輩方が立ち上げにご尽力されたと伺っております。私は2018年に群馬大学入局させていただき、放射線治療医として働き始め半年程度の新米ではありますが、口頭発表をさせていただく機会をいただきました。放射線治療領域の学会で発表させていただくのは口頭・ポスター含め初めての経験であり、さらに国際学会への参加も初めてという状態での本学会参加は烏滸がましいことかと思いましたが、せっかく頂いた成長する機会ですので参加させていただくことといたしました。
今回の学会はインドネシアのバリ島での開催でした。バリ島は日本人だけでなく世界各地から旅行者が集まる魅力的な場所です。綺麗な海がありビーチ・リゾートとして有名なだけでなくバリ・ヒンドゥーというインド仏教やヒンドゥー教の習合によって成り立った独自の宗教・文化を持っています。会場はヌサ・ドュアという高級リゾート地で行われました。今回の学会への参加が決まった時は行ったことの無いリゾート地への期待でワクワクしたのを覚えています。しかし、肝心の発表では勉強・知識・経験不足が大きく露呈したものとなりました。発表内容は現在群馬大学病院で婦人科腫瘍のグループに所属させて頂いていることから、子宮頚がん高齢患者における放射線単独治療の成績をテーマとさせていただきました。まず参加登録の段階での抄録作成ですが、内容の把握・情報整理・統計など不勉強の点が多々あり、恥ずかしながら自身で作成できたものではありません。また、過去にどのような研究・実験が行われそれが常識なのか、いま研究され始めたばかりなのか、そのような事すら分からずにおりました。実際の発表スライド作成でも指導してくださった村田和俊先生はじめ、周囲の先生方に「おんぶに抱っこ」の状態で、大変申し訳なく感じ、自身の不勉強を痛感しました。しかし、そのお陰で発表は滞りなく行うことができました。
学会では学術的・言語的な刺激を受け、美しい景観には心を洗われてと非常に充実した日を過ごさせていただきました。学会を通じて多くの先生とお会いでき、そしてまた新しい放射線治療に携わる人々と出会えることも学会の素晴らしい魅力だと思います。今回の学会を通じて私自身が「これからやっていくこと」が垣間見えた気がしています。次年度以降の学会では今年よりもステップアップしている私で皆様に再会できますように臨床と研究に励みたいと思います。多くの学びや気づきが得られた学会でした、発表の機会を与えたくださった中野隆史先生、発表にあたり直接指導してくださいました村田和俊先生にお礼申し上げます。