第54回日本癌治療学会学術集会 閉会のお知らせ

当教室の中野隆史が大会長を、当教室が事務局を勤めさせていただいた、第54回日本癌治療学会学術集会が2016年10月20日-22日にパシフィコ横浜で開催され、無事終了致しました。

大会の開催に際しまして、ご協力ならびにご尽力いただいた皆様、ご参加くださいました皆様にこの場を借りまして心より御礼申し上げます。

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第54回日本癌治療学会学術集会 開催のお知らせ

第54回日本癌治療学会学術集会が以下の日程で開催されます。

本学会は当教室の中野隆史が大会長を、当教室にて事務局を務めさせていただきます。

スタッフ一同誠心誠意運営に努めます。たくさんのご参加をお待ちしております。

会期:2016年10月20日(木)~22日(土)

会場:

パシフィコ横浜

〒220-0012 横浜市西区みなとみらい1-1-1
TEL:045-221-2155(総合案内)

会長:

中野 隆史 (群馬大学大学院医学系研究科 腫瘍放射線学 教授

群馬大学 重粒子線医学研究センター長)

テーマ:

成熟社会における、がん医療のリノベーション
Renovation of Cancer Medicine in the Mature Society

学術集会本部:

群馬大学大学院医学系研究科 病態腫瘍制御学講座 腫瘍放射線学

大会ホームページ  http://congress.jsco.or.jp/jsco2016/

がんジュニアセミナー in 前橋 (終了のお知らせ)

平成 28 年 10 月 1 日(土)に、群馬県前橋市の群馬大学昭和キャンパス内・ミレニアムホールで、第 54 回日本癌治療学会学術集会のプレイベントとして、「がんジュニアセミナー in 前橋」が開催されました。
本セミナーは群馬県在住・在学の小学 5・6 年生を対象に、「がんとがん治療の最先端を見に行こう!」をテーマとして、がんとがん治療に関するミニレクチャーと、重粒子線がん治療施設の見学会を行いました。
当日は朝から小雨のちらつく中でしたが、59名の小学5・6年生が参加してくれました。さらにそのご父兄にも聴
講して頂きましたので、セミナー全体では126名ご来場いただき、非常に盛会となりました。
ご来場いただきました参加者ならびにご父兄の方々に厚く御礼申し上げます。また、本セミナーの開催・運営にご協力いただきました、講師の先生方、施設見学会の担当者、ならびに群馬大学腫瘍放射線学講座の大学院生に感謝申し上げます。
詳細は以下のリンクをご参照ください。

癌治療学会開催にあたってー中野隆史教授

来る平成28年10月20日(木)から22日(土)にかけて、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて第54回日本癌治療学会学術集会を開催いたします。開催にあたって、皆様に学術集会の特色をご紹介させていただきたいと思います。本集会はテーマとして「成熟社会における、がん治療のイノベーション」を掲げさせていただきました。成熟社会とは物質的な充足の追求が限界を向かえる中で人生や生活の質の向上を重視する持続可能で安定した社会を指します。我が国では経済的な発展とともに、医療システムも発展し、必要な治療が必要な患者に須らくいきわたるユニバーサルヘルスケアシステムが確立し、世界最高レベルの平均寿命を達成しました。結果として高齢化が進行したことで、必然的に癌患者も増加し、国民の2人に1人が癌に罹患する、とまで言われております。このような時代背景の中で、癌の治療は「癌そのものを治癒する」のは当然のことながら「患者のその後の人生も含めて、患者そのものを真の意味で治癒する」ことの重要性が改めて認識されています。一方で、癌治療の分野では日々技術革新が生まれ、免疫治療やロボット手術など新しい治療が登場しています。これらの新しい技術や既存の治療をどのように組み合わせて「より質の高い、真の治癒」を目指すのか、という課題に対して、癌治療に携わる各分野の専門家、そして癌患者さんが一同に会する本学会の場で議論を深めたいと考えております。

さて、今回群馬大学が本学会を主催するのは43年ぶりとなります。会場は来場者数の都合で、神奈川県横浜市パシフィコ横浜となりましたが、群馬大学が主催するにあたって、群馬の特色を出せるよう様々な企画を準備しております。本大会の特別講演には国際原子力機関事務局長天野之弥先生をお招きし、原子力の平和利用~発展途上国におけるがんへの挑戦~、についてご講演いただきます。この講演は、長年、日本が取り組んできた、放射線治療の発展途上国への普及、という国際協力活動に対して、群馬大学も微力ながらご協力をさせていただいてきた経緯から実現しました。また、群馬大学には世界でわずか8施設しかない重粒子線治療施設があります。今年4月から、切除非適応の骨軟部腫瘍に対しては、保険適応が認められました。これによって患者さんの経済的負担は大幅に軽減されました。重粒子線治療はより体への負担が少なく、確実な治療効果を望めることが認められてのことであります。本大会では、これらの最先端の治療が癌治療の中でどのような役割を持つのか、各分野の専門家を集め、議論したいと考えております。その他にも、学術大会内では、群馬がん治療技術地域活性化総合特区(がん特区)や世界遺産となった「富岡製糸場と絹産業遺産群」についての講演なども予定しております。

さて、本大会では一般の方を対象としたプログラムも用意しております。文化人講演として作家五木寛之氏、哲学者の竹内整一氏、俳優梅沢富美男氏などの講演があります。これらの講演は一般の方向けの限定チケットで入場が可能です。さらに、横浜市内の小学生を対象とした「がんジュニアセミナー」なども準備しております。詳細は学会ホームページをご覧ください。最後になりますが、本大会が、癌治療における、分野を超えた専門家同士や医療者と患者さんの議論の場となり、より質の高い癌治療の発展に微力ながら寄与出来る契機となれば幸いです。多くの皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。

第54回日本癌治療学会学術集会 会長 群馬大学大学院医学系研究科 教授 中野隆史

近況報告ー樋口啓子先生(伊勢崎市民病院)

みなさん こんにちは。

伊勢崎市民病院の樋口です。 いつも大変お世話になっております。

私が伊勢崎市民病院に勤務して約1年半が経過しました。Eclipse使用歴3ヶ月で赴任した当初は、浩央ちゃんマニュアル(佐藤浩夫先生からEclipseを教わった時に書き留めたノート・今も大事にしています)とモニターを交互に見ながらのプラン作成でしたが、今はSmart Segmentation機能を駆使し始めたところです(機能があることを最近まで知らずに、もったいない ところでした)。

今回は伊勢崎市民病院について施設紹介をさせていただきます。

当施設は病床数494床の急性期医療を中心とした病院です。平成18年に地域がん診療連携拠点病院に指定され、平成21年に緩和病棟・内視鏡センター・外来化療法センターが、平成24年に緩和ケア内科が新設されました。昭和53年に設立されたという放射線科は平成24年に放射線診断科と放射線科治療科として新設されました。

放射線治療科は一般外来から最も離れた反対側の端に位置し、放射線検査部門を通り抜けた奥扉をあけると、コンパクトですが機能的な放射線治療部があります。治療機器は 2013年に更新したライナック(バリアン社/Clinac iX)1台、 CTシミュレーター(シーメンス社/Deffinition)1台、 治療計画装置(Eclipse、I-plan)、Exac-Trac X-rayシステム です。

主な疾患は乳癌・前立腺癌・肺癌・食道癌で、年間の新患治療患者数は230-290人です。

平成17年から、泌尿器科と連携して、主に低~中リスクの前立腺癌に対しI125密封小線源永久挿入療法を行い、治療開始からの総件数は8月末現在で407件となりました。この2年間は件数が増加し、週2件ペースで治療が行われ、非常勤の先生方にお世話になっています。RI施設はないため、手術室・一般病室を管理区域として使用しています。高い治療効果を期待でき、施術に約2時間、入院3泊4日 と治療期間が短いことが、この治療の大きなメリットです。当施設では前立腺癌手術件数も多く、2015年の前立腺全摘術は110件でこのうち100件がダビンチによる手術でした。

放射線治療科の常勤医は私1名ですが、非常勤医師として群馬大学から加藤弘之先生、久保亘輝先生、筑波大学から石川仁先生という大変豪華で強力なご支援をいただいています。スタッフは、放射線技師3名(うち品質管理士2名)、非常勤看護師1名で、小田和正顔負けの美声の職人気質、ディズニーキャラクターのようなお茶目な論客派、ケンブリッジ飛鳥似のイケメン実力派、受付も秘書もこなせる優秀な腕利きNurse、と積極的で労を惜しまない熱心なスタッフと一緒に仕事をさせていただいております。

本年度の診療報酬改定により、緩和ケア病棟入院中の放射線治療は包括範囲から除外され別に算定できることとなり、緩和ケア内科となおいっそう連携しやすくなりました。

スタッフ・他科との連携につとめ、よりいっそう良いチーム医療を行っていきたいと思っています。 今後とも、御指導・ご協力のほど、どうぞよろしくお願い致します。

近況報告ー岩永素太郎先生(関東脳神経外科)

皆様、こんにちは。今年度で医師4年目になりました岩永素太郎と申します。前回寄稿したのが入局挨拶だったので1年3ヶ月ぶりになります。医師3年目(入局1年目)より関東脳神経外科病院サイバーナイフセンターで勤務しているので、こちらもほぼ同じ期間となる1年4ヶ月になりました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、今の職場で常勤医は私一人です。医師3年目になるときに一人常勤医として勤めるように言われた時は正直何かの冗談かと思いましたが、今では「センター長」と皆様に呼ばれるまでになりました(正確にはセンター長は現在空席であり、私はセンター長ではありません)今回はこのような機会をいただいたので、皆様に是非サイバーナイフについて知っていただきたいと思っています。

サイバーナイフでは一体何ができるのか?まだ答えは完全にはわかっていません。一般的には脳転移などの頭蓋内病変に対しての治療に多く使われています。その他では頭頸部病変や肺癌、肝癌などが適応となっており、今年度より前立腺癌に対しても定位照射の保険適応となりました。当院では脳、頭頸部の他にも腹部リンパ節転移などの病変に対しても治療を行っています。特に、最近は放射線治療後の照射野内再発など既存の方法では治療が難しい症例に対して外勤で来ていただいている先生方と協議しながら取り組んでいます。

サイバーナイフの特徴は多方向から5mm〜60mmの細いBeamを照射できる点と継時的な追尾機能がある点です。治療計画としては、線量集中性が高くリスク臓器を避けることが可能だと考えられています。また、病変に対しての線量分布では中心点が非常に高線量となります。例えば、当院における基本的な脳転移の計画ではTargetの辺縁に20Gyを処方しますが、中心点は40Gy程度が照射されるようになります。Target内の均質性を求める一般的な放射線治療とは違い、分布上は小線源に近い治療であると考えています。以上の特徴より腫瘍制御の向上と有害事象の低減の両立が可能であると考えています。

しかしながら、サイバーナイフはあまり普及していません。ひとつには今までサイバーナイフを扱っていた医師の多くが脳外科医であった点があると思います。現在では徐々に放射線治療医が携わる施設が増え、先述したように適応も体幹部に拡大されてきました。しかし、まだ未知のことも多く、今後Evidenceを積み重ねていくことが求められています。私も赴任してから今までに様々な学会や研究会で6回ほどサイバーナイフに関わる発表をさせていただきました。また、日々の診療では群馬大学をはじめ関連病院より多くの症例をご紹介いただき、微力ですが私なりに皆様のお役に立てているのではないかと自負しております。そういった意味で特に若手の先生には大変魅力的な分野なので、是非積極的に関わっていただきたいと思っています。また、日頃の臨床でお困りのことがあればお役に立てることもあると思うのでご相談いただければ幸いです。

最後にこのようなチャンスを与えていただいた中野先生とご指導いただいている先生方に感謝申し上げます。今後とも皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いします。

 

近況報告 −佐藤浩央先生(群馬大学)

近況報告 −ラボマネージャーとしての日々−

皆様こんにちは。2008年卒、国試直前模試の必修科目で偏差値20台をマークしたのも今は昔、無事に医師9年目になりました佐藤浩央です。現在は群大病院にて、放射線科の泌尿器科腫瘍チームの一員として勤務しております。

放射線科の泌尿器科腫瘍チームの中のいち医員ではありますが、実はもう一つ、特殊な役職に就いております。生物研究・実験、研究室運営の統括を行う、通称「ラボマネージャー(以下 LM)」という役職です。そのため週一回の外来以外はほとんど院内におらず、病棟当直では看護師さんに「あ、先生お久しぶりです。」と暖かく迎えて頂いております。このメールマガジンを読んで頂いている学生さんも「ポリクリ回ったけど、佐藤なんて医者いたっけ…?」と思われるかもしれませんが、私は実在しております。

さて今回の近況報告は、編集者より「主に学生をターゲットとして、LMが日々どんなことをしているのか書いてほしい」と、(締切の4日も前に)依頼を頂きましたので、1) LMとはどんな仕事をしているのか、2) 医者が研究を行う意味、といった内容を中心に書かせて頂こうと思います。

1) LMとはどんな仕事をしているのか

現在のLMの仕事は、大きく分けると以下の5つです。

  • 自身の研究テーマ「放射線治療における腫瘍免疫の重要性」の研究
  • 留学生(3名)や大学院生の生物実験のコーディネート、サポート
  • 他教室との共同研究に関する交渉
  • 医局員の生物研究に関する業績管理統括、コーディネート
  • その他研究に関する雑務(各種書類作成など)

1.に関して書かせて頂きますと、私の研究テーマは、学位指導を頂きました、現・福島医科大学放射線腫瘍学講座教授の鈴木義行先のご指導から始まりました。2010年の入局と同時に大学院に入学し、鈴木先生から頂いたご指導のもと、現在も一貫して上記のテーマで研究を進めております。

学位取得の直後に、皆様周知の通り、抗PD-1抗体の鮮烈な登場をはじめとした腫瘍免疫全盛の時代を迎えられたことは、非常に幸運でした。現在でも同じテーマを抱えつつ、去年からは群馬大学の先端科学研究指導者育成ユニットの柴田淳史先生と共同研究という形で実験に取り組んでおります。柴田先生はDNA損傷応答の第一人者で、私の放射線腫瘍医としての知識と腫瘍免疫に関する知識を持ち込み「放射線によるDNA修復応答が腫瘍細胞のPD-L1発現を誘導するメカニズムの解析」というテーマで実験を行っております。予想通り、またはそれ以上にいい結果を得られており、半年以内に投稿予定です。

2.について、当教室は昔から多くの留学生を受け入れてきました。現在放射線科には「グローバルリーダー養成ログラム(通称 リーディング大学院)」という大きなプログラムの下、3人の留学生がおります。留学生は生物研究の経験が全くない状態で入学しますので、研究指導は大変です。臨床に例えるなら「未経験者にCVカテーテル挿入から補液量設定までを英語で教える」レベルの業務が続くと想像してもらうといいかも知れません。当然、臨床の片手間でできるものではなく、あらゆる面でサポートが必要になり、その調整・サポートも現在のLMの重要な業務になっています。もちろん留学生だけでなく、医局員の大学院生の教育・サポートも重要な業務です。なぜなら教育は、本報告の書き出しにある通りの成績だった私を「医学博士」にまでしてくれるものだからです。中野教授、鈴木先生はじめ多くの先生から頂いた指導を後輩に伝え、一人の研究者として学位取得をサポートすることが、私を育てて頂いた先生方への恩返しになると信じております。

3.もまた重要な業務と考えています。具体的な結果としては、中野教授のご厚意のもと、今年度より病態病理学教室(横尾英明教授)との共同研究体制を確立しました。生物検体からのパラフィンブロック作成、薄切、免疫染色、結果の評価までを一貫して依頼できる状態です。近年の生物研究の分野では、各部門のエキスパートが協力して一つの研究を進めるのがスタンダードのようです。以前は当教室で行っていた免疫染色ですが、安定した高いクオリティで大量の標本を扱える病理学教室と提携することで、よりクリアな研究結果を得られるようになりました。

 

2) 医師が研究を行う意味

そもそも、なぜ放射線腫瘍医である私がわざわざ研究中心の役職に就いているのか疑問に思われる方もいると思います。これにはいくつかの理由があります。

まず大前提として、大学病院というのは臨床だけでなく、教育、研究の責任も等しく担っており、この点で他の病院とは使命が大きく異なります。

また、群馬にいるとつい錯覚しますが、放射線腫瘍学は未だ明らかにマイナー分野です。全国的にも依然医師が不足している状態ですので、全国ほとんどの放射線腫瘍医は臨床を中心とした業務に従事し、基礎研究を進めることは難しいのが現状ではないでしょうか。しかしがん治療において放射線治療が担う責任は常に高まっており、つまり、同じくがん治療の中心を担う外科や内科と同じレベルで、分野内の基礎研究が求められると言い換えられます。その意味では、全国トップクラスの人員数を誇る群馬大学放射線科が、放射線腫瘍学の基礎生物研究を進めるのは、もはや使命であると考えます。

ただ、一人の医者の基礎研究能力は、(少なくとも今の私は)率直に言って本職の基礎研究者の足元にも及びません。それでも医師が研究を行う意味は、「臨床からのフィードバック」という、医師しか持ち得ない視点を持ち込めることだと言えます。もっともシンプルな例は「同じ放射線量を同じように投与しても、治る患者さんと治らない患者さんがいる。その原因は何か?」ですが、この感覚は、実際に多くの基礎研究者と話をすると、我々医師の思った以上に乖離のある点のようです。この点が、医師が研究を行う意味であると考えます。

また上記から、医師の理想的な生物研究の体制とは「熟練したスキルを持つ臨床に関心の高い基礎研究者との共同研究」ではないか、と考えるようになりました。

最後に

私は今、本当に毎日楽しく仕事をしています。実際に、上記の通りの理想的な体制での研究を進められています。その環境を整えてくださった中野教授、先代LM尾池先生には大変感謝しております。さらに私がLMの業務に専念できるのは、どんなに忙しくても日々の臨床面での業務を負担してくださる同チームの河村先生、久保先生、水上先生、安達先生、そしてもちろん大学病院の先生方全員のお陰に他なりません。皆様のご協力に応えられるよう、しっかりと成果を出していく所存です。

研究を中心に仕事をしていると言っても、私は医師ですので、最終的な目標は「患者さんのためになる仕事」です。数年がかりの仕事ですが、一人でも多くの患者さんおよび家族が幸せになれる仕事をしたいと思っております。

当教室の教授は「世界のNakano」です。伊香保での中野教授就任10周年祝賀会で教授から提案されました通り「中野教授の名前をNatureに載せること」、この目標は皆様周知の通りです。当然Natureレベルの論文は易々と書けるものではありませんが、その目標を念頭に置き日々の研究を進めることが、いずれ大きな成果につながると思っています。

さて、いざ書いてみると、あまりの長文っぷりに我ながら呆れ果てます。内容もまるで素人の出来の悪い随筆のようになってしまいました。この忙しい時期に、果たして最後まで読んでくださった方がいるのか不安で仕方ありませんが、「LMはどんなことをしているのか」という依頼には応えられたのではないかと思います。

ここまで読んでくださった学生の皆様へのメッセージとして、群大の放射線科では実に様々な生き方を選べる、ということをお伝えしたいと思います。私が強く印象に残っている先輩の言葉で、「群大放射線科の最大の強みは、最新機器ではなく、日本で一番、教えてくれる先輩が多いこと」というものがあります。多くの先輩から指導を頂き、多くの選択肢から人生を選べる、こんなことができる環境にいる私は、32歳にもなって、毎日がとても楽しいです。

最後になりましたが、皆様からの引き続きのご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

海外留学記ー吉田大作先生(マサチューセッツ総合病院)

皆様こんにちは。H15(2003)年卒の吉田です。2016年4月から米国ボストンのMassachusetts General Hospital(MGH)に留学しております。留学に当たり、中野教授をはじめとした医会の皆様には多大な御支援頂いております。この場をお借りして、心より感謝申しあげます。

こちらに来て1か月ちょっとほどしか経っておらず、“グローバルリーディング”な皆様にお話しできるような大層な話はまだないです。にも関わらず執筆依頼が来たのは、報告書としての原稿依頼なのでしょう。たぶん。

さてこの1か月ですが、アメリカでの新生活がようやく落ち着いてきた所です。入国して日常生活のセットアップを始めました。住居は日本にいるうちに現地の方にお願いし、3月より確保しました。場所はブルックライン市というボストン市の西側に位置する所です。一般に“ボストン”と呼ばれるGreat Bostonに含まれる地域で、我が家はその中でも東側にあり、ほとんどボストン市といったところです。歩いて10分弱のところにMLBのRed Soxの本拠地、フェンウェイ・パークがあります。またHarvard Medical SchoolやBeth Israelなどが集中するLongwood medical areaにも近い、アカデミックな地域でもあります。このため医学研究者を中心とした日本人が多数居住しており、小学校には英語が十分に出来ない生徒をサポートするスタッフが常駐しています。手厚い対応が期待でき、安心して子供を学校に行かせることができます。

さてそれでは本題の、留学についてです。私が現在所属しているCellular & Molecular Radiation Oncology Laboratoryは、以前若月優先生や河村英将先生、神沼拓也先生が留学された研究室です。研究室は更に3つのグループからなり、私のグループのPrincipal Investigator (PI)はKathryn D Held准教授という女性の先生です。PIとは聞き慣れない言葉かと思います。こちらでは、assistant professor以上は、自分で研究費(grant)を申請ができ、独立したポジションです。研究室、教室を運営し、技官やポストドクを雇う権限が与えられ、自分のアイディアで研究を進めていくという意味で主任研究者、PIと呼ばれています。つまり研究面において、Full Professor(教授)、Associate Professor(准教授、講師)とassistant professorは対等です。因みに、assistant professor以上の教授職をファカルティと呼びます。アメリカの研究室では、ボスであるPIの下に直接ポスドクや大学院生が付くことになります。ですので、私がLoeffler教授と直接関わることはありません。Held先生の研究テーマは、in vitroでの放射線によるバイスタンダー効果です。培養細胞を使い、放射線を照射し、それに対する細胞の反応を見る、という研究です。実際の実験手技としては、ある程度限られたものだけを使っています。しかしながら、なにぶん大学院を出てからこの数年全く基礎実験に触れず、ブランクが大きいため、それらのテクニックを習得、確認している所です。今後は神沼先生の実験を引き続いてやっていく予定です。どこまでやれるか分かりませんが、できるだけのものを手に入れて、皆さんに還元できるようにしたいと思っております。

ところで執筆に当たり、過去メルマガに掲載された海外留学記を見られる範囲で目を通してみました(放射線科ホームページで見られます)。しかしあれですね。みんな真面目ですね。まあふざける要素が無いといえば無いので当然ですが。ただ読んで行くと、各々皆さん個性を感じますね。本人知っているのもありますけど。白井先生は“真面目”って感じでいろんな方面に気を使いながら書いている感じが伝わります。若月先生は流石に教授になられる方だけあって、立派な留学されていたことが伝わります。他意はないです、別に。河村先生は不思議青年らしく、なんだか叙情的な文章を書きますね。アンニュイな気分にさせられます。田巻先生は、放射線治療に対する熱さを感じますね。仕事の内容の素晴らしさに、こちらも誇らしくなります。本人の“天然っぷり”が滲み出ていないのが残念な限りです。岡本先生はそつがないですよね。読みやすいし、頭の良さを感じます。吉本先生は研究歴も長く内容の充実も流石ですが、何より3回も書いているんですね、留学記。メルマガ担当者が頼みやすかったのでしょう。人柄が感じられます。そして尾池先生。素晴らしい。一生付いて行こうと決めました。JASTRO Newsletterも楽しみです。そして加藤先生。アウトバーンについての詳細なレポート。もはや異次元です。結局ドイツで何をしていたのでしょうか?謎のままです。

それではまた。

着任挨拶ー若月優先生(自治医科大学)

平成14年入局の若月優です。このたび、平成28年4月1日付けで自治医科大学放射線科/中央放射線部の教授を拝命いたしました。30代最後の年にこのような身に余る大役をいただけたのは、群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学教室の医会並びに同門会の皆様方の御指導・御支援のおかげと心より感謝申し上げます。

自治医科大学の放射線治療部門は私を含めて、現在常勤医2名、レジデント1名、非常勤医師数名の小所帯でありますが、3台の放射線治療装置と1台の小線源治療装置で年間約1000名(新患800名)(うちIMRT約100件、定位照射約50件、腔内照射約30件)の治療を行っております。栃木県内はもとより、茨城県西部、埼玉県北部の放射線治療を支えております。先任の教授も約半分の患者を担当されていたとのことで、医者になって一番臨床に重きを置いた1か月となりました。

しかしながら大学病院の役割は『教育』、『研究』、『臨床』の多岐にわたりますので、臨床だけでなく、教育・研究も臨床部門が軌道に乗りましたら頑張っていきたいと考えております。特に、放射線腫瘍医の育成こそが自分が群馬大学放射線科に入局以来のライフワークとしており、自治医大のように放射線腫瘍医の少ない大学病院でいかに放射線腫瘍医を増やしていくかを次のテーマと考えております。自分が群馬大学で多くの力を注いできた学生勧誘の面では、自治医大の学生には卒後9年間の義務年限があるため学生からの入局者は望めない環境にあります。そのため、研修医をいかに放射線腫瘍学に興味を持たせ、入局者を増やすかという新たなミッションに臨んでいく必要があり、そのための方法を模索しております。

一方で『研究』や『臨床』といった意味では、自分が今まで群馬大学や放射線医学総合研究所で努めてきた重粒子線治療などの最先端の医療とは異なり、自治医大の大学としての使命は、地域における医療の均てん化というテーマになります。「放射線治療の均てん化とは何が必要なのか」を考え、現在新たな取り組みを考えております。すなわち「放射線治療の均てん化」とは放射線治療機械の充足や普及、先端放射線治療の普及といったことだけでなく、「放射線治療を受ける機会の均てん化」ではないかと考えております。実際に自治医大に来て1か月間で、栃木県の中で地域によっては十分な放射線治療を受けられていない現状を目の当たりにしております。栃木県と同様に日本全国で見ても放射線腫瘍医が充足していない現状から、全国で同様の環境があることは想像されますが、全国の津々浦々に放射線治療装置だけでなく放射線腫瘍医を配置することは困難であることは言うまでもないかと思います。そのためにも根治治療だけでなく緩和治療においても、必要とした患者が適切なタイミングで放射線治療を受けることが可能なシステムを作り上げる必要があると考えております。

まだまだ新たな一歩を踏み出したばかりで、雲をも掴むような状況ではありますが、自治医大に赴任して大きな可能性と未来を感じております。群馬大学放射線科出身の名前に恥じないように、また多くの医会の後輩たちの目標となれるように精進していきたいと考えております。まだまだ至らぬ部分も多く、御迷惑をおかけすることもあるかと思います。今後とも御指導・御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

重粒子線治療の診療体制が変わります(保険診療、先進医療)

平成28年4月から重粒子線治療が新たな診療体制にて行われます。一部の病態(切除非適応の骨軟部腫瘍)で健康保険が適用されるようになりました。
また、先進医療として重粒子線治療が行える疾患・病態についても若干の変更があります。

詳細については群馬大学重粒子線医学センターの特設ページをご参照ください。