近況報告ー樋口啓子先生(伊勢崎市民病院)

みなさん こんにちは。

伊勢崎市民病院の樋口です。 いつも大変お世話になっております。

私が伊勢崎市民病院に勤務して約1年半が経過しました。Eclipse使用歴3ヶ月で赴任した当初は、浩央ちゃんマニュアル(佐藤浩夫先生からEclipseを教わった時に書き留めたノート・今も大事にしています)とモニターを交互に見ながらのプラン作成でしたが、今はSmart Segmentation機能を駆使し始めたところです(機能があることを最近まで知らずに、もったいない ところでした)。

今回は伊勢崎市民病院について施設紹介をさせていただきます。

当施設は病床数494床の急性期医療を中心とした病院です。平成18年に地域がん診療連携拠点病院に指定され、平成21年に緩和病棟・内視鏡センター・外来化療法センターが、平成24年に緩和ケア内科が新設されました。昭和53年に設立されたという放射線科は平成24年に放射線診断科と放射線科治療科として新設されました。

放射線治療科は一般外来から最も離れた反対側の端に位置し、放射線検査部門を通り抜けた奥扉をあけると、コンパクトですが機能的な放射線治療部があります。治療機器は 2013年に更新したライナック(バリアン社/Clinac iX)1台、 CTシミュレーター(シーメンス社/Deffinition)1台、 治療計画装置(Eclipse、I-plan)、Exac-Trac X-rayシステム です。

主な疾患は乳癌・前立腺癌・肺癌・食道癌で、年間の新患治療患者数は230-290人です。

平成17年から、泌尿器科と連携して、主に低~中リスクの前立腺癌に対しI125密封小線源永久挿入療法を行い、治療開始からの総件数は8月末現在で407件となりました。この2年間は件数が増加し、週2件ペースで治療が行われ、非常勤の先生方にお世話になっています。RI施設はないため、手術室・一般病室を管理区域として使用しています。高い治療効果を期待でき、施術に約2時間、入院3泊4日 と治療期間が短いことが、この治療の大きなメリットです。当施設では前立腺癌手術件数も多く、2015年の前立腺全摘術は110件でこのうち100件がダビンチによる手術でした。

放射線治療科の常勤医は私1名ですが、非常勤医師として群馬大学から加藤弘之先生、久保亘輝先生、筑波大学から石川仁先生という大変豪華で強力なご支援をいただいています。スタッフは、放射線技師3名(うち品質管理士2名)、非常勤看護師1名で、小田和正顔負けの美声の職人気質、ディズニーキャラクターのようなお茶目な論客派、ケンブリッジ飛鳥似のイケメン実力派、受付も秘書もこなせる優秀な腕利きNurse、と積極的で労を惜しまない熱心なスタッフと一緒に仕事をさせていただいております。

本年度の診療報酬改定により、緩和ケア病棟入院中の放射線治療は包括範囲から除外され別に算定できることとなり、緩和ケア内科となおいっそう連携しやすくなりました。

スタッフ・他科との連携につとめ、よりいっそう良いチーム医療を行っていきたいと思っています。 今後とも、御指導・ご協力のほど、どうぞよろしくお願い致します。

近況報告ー岩永素太郎先生(関東脳神経外科)

皆様、こんにちは。今年度で医師4年目になりました岩永素太郎と申します。前回寄稿したのが入局挨拶だったので1年3ヶ月ぶりになります。医師3年目(入局1年目)より関東脳神経外科病院サイバーナイフセンターで勤務しているので、こちらもほぼ同じ期間となる1年4ヶ月になりました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、今の職場で常勤医は私一人です。医師3年目になるときに一人常勤医として勤めるように言われた時は正直何かの冗談かと思いましたが、今では「センター長」と皆様に呼ばれるまでになりました(正確にはセンター長は現在空席であり、私はセンター長ではありません)今回はこのような機会をいただいたので、皆様に是非サイバーナイフについて知っていただきたいと思っています。

サイバーナイフでは一体何ができるのか?まだ答えは完全にはわかっていません。一般的には脳転移などの頭蓋内病変に対しての治療に多く使われています。その他では頭頸部病変や肺癌、肝癌などが適応となっており、今年度より前立腺癌に対しても定位照射の保険適応となりました。当院では脳、頭頸部の他にも腹部リンパ節転移などの病変に対しても治療を行っています。特に、最近は放射線治療後の照射野内再発など既存の方法では治療が難しい症例に対して外勤で来ていただいている先生方と協議しながら取り組んでいます。

サイバーナイフの特徴は多方向から5mm〜60mmの細いBeamを照射できる点と継時的な追尾機能がある点です。治療計画としては、線量集中性が高くリスク臓器を避けることが可能だと考えられています。また、病変に対しての線量分布では中心点が非常に高線量となります。例えば、当院における基本的な脳転移の計画ではTargetの辺縁に20Gyを処方しますが、中心点は40Gy程度が照射されるようになります。Target内の均質性を求める一般的な放射線治療とは違い、分布上は小線源に近い治療であると考えています。以上の特徴より腫瘍制御の向上と有害事象の低減の両立が可能であると考えています。

しかしながら、サイバーナイフはあまり普及していません。ひとつには今までサイバーナイフを扱っていた医師の多くが脳外科医であった点があると思います。現在では徐々に放射線治療医が携わる施設が増え、先述したように適応も体幹部に拡大されてきました。しかし、まだ未知のことも多く、今後Evidenceを積み重ねていくことが求められています。私も赴任してから今までに様々な学会や研究会で6回ほどサイバーナイフに関わる発表をさせていただきました。また、日々の診療では群馬大学をはじめ関連病院より多くの症例をご紹介いただき、微力ですが私なりに皆様のお役に立てているのではないかと自負しております。そういった意味で特に若手の先生には大変魅力的な分野なので、是非積極的に関わっていただきたいと思っています。また、日頃の臨床でお困りのことがあればお役に立てることもあると思うのでご相談いただければ幸いです。

最後にこのようなチャンスを与えていただいた中野先生とご指導いただいている先生方に感謝申し上げます。今後とも皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いします。

 

近況報告 −佐藤浩央先生(群馬大学)

近況報告 −ラボマネージャーとしての日々−

皆様こんにちは。2008年卒、国試直前模試の必修科目で偏差値20台をマークしたのも今は昔、無事に医師9年目になりました佐藤浩央です。現在は群大病院にて、放射線科の泌尿器科腫瘍チームの一員として勤務しております。

放射線科の泌尿器科腫瘍チームの中のいち医員ではありますが、実はもう一つ、特殊な役職に就いております。生物研究・実験、研究室運営の統括を行う、通称「ラボマネージャー(以下 LM)」という役職です。そのため週一回の外来以外はほとんど院内におらず、病棟当直では看護師さんに「あ、先生お久しぶりです。」と暖かく迎えて頂いております。このメールマガジンを読んで頂いている学生さんも「ポリクリ回ったけど、佐藤なんて医者いたっけ…?」と思われるかもしれませんが、私は実在しております。

さて今回の近況報告は、編集者より「主に学生をターゲットとして、LMが日々どんなことをしているのか書いてほしい」と、(締切の4日も前に)依頼を頂きましたので、1) LMとはどんな仕事をしているのか、2) 医者が研究を行う意味、といった内容を中心に書かせて頂こうと思います。

1) LMとはどんな仕事をしているのか

現在のLMの仕事は、大きく分けると以下の5つです。

  • 自身の研究テーマ「放射線治療における腫瘍免疫の重要性」の研究
  • 留学生(3名)や大学院生の生物実験のコーディネート、サポート
  • 他教室との共同研究に関する交渉
  • 医局員の生物研究に関する業績管理統括、コーディネート
  • その他研究に関する雑務(各種書類作成など)

1.に関して書かせて頂きますと、私の研究テーマは、学位指導を頂きました、現・福島医科大学放射線腫瘍学講座教授の鈴木義行先のご指導から始まりました。2010年の入局と同時に大学院に入学し、鈴木先生から頂いたご指導のもと、現在も一貫して上記のテーマで研究を進めております。

学位取得の直後に、皆様周知の通り、抗PD-1抗体の鮮烈な登場をはじめとした腫瘍免疫全盛の時代を迎えられたことは、非常に幸運でした。現在でも同じテーマを抱えつつ、去年からは群馬大学の先端科学研究指導者育成ユニットの柴田淳史先生と共同研究という形で実験に取り組んでおります。柴田先生はDNA損傷応答の第一人者で、私の放射線腫瘍医としての知識と腫瘍免疫に関する知識を持ち込み「放射線によるDNA修復応答が腫瘍細胞のPD-L1発現を誘導するメカニズムの解析」というテーマで実験を行っております。予想通り、またはそれ以上にいい結果を得られており、半年以内に投稿予定です。

2.について、当教室は昔から多くの留学生を受け入れてきました。現在放射線科には「グローバルリーダー養成ログラム(通称 リーディング大学院)」という大きなプログラムの下、3人の留学生がおります。留学生は生物研究の経験が全くない状態で入学しますので、研究指導は大変です。臨床に例えるなら「未経験者にCVカテーテル挿入から補液量設定までを英語で教える」レベルの業務が続くと想像してもらうといいかも知れません。当然、臨床の片手間でできるものではなく、あらゆる面でサポートが必要になり、その調整・サポートも現在のLMの重要な業務になっています。もちろん留学生だけでなく、医局員の大学院生の教育・サポートも重要な業務です。なぜなら教育は、本報告の書き出しにある通りの成績だった私を「医学博士」にまでしてくれるものだからです。中野教授、鈴木先生はじめ多くの先生から頂いた指導を後輩に伝え、一人の研究者として学位取得をサポートすることが、私を育てて頂いた先生方への恩返しになると信じております。

3.もまた重要な業務と考えています。具体的な結果としては、中野教授のご厚意のもと、今年度より病態病理学教室(横尾英明教授)との共同研究体制を確立しました。生物検体からのパラフィンブロック作成、薄切、免疫染色、結果の評価までを一貫して依頼できる状態です。近年の生物研究の分野では、各部門のエキスパートが協力して一つの研究を進めるのがスタンダードのようです。以前は当教室で行っていた免疫染色ですが、安定した高いクオリティで大量の標本を扱える病理学教室と提携することで、よりクリアな研究結果を得られるようになりました。

 

2) 医師が研究を行う意味

そもそも、なぜ放射線腫瘍医である私がわざわざ研究中心の役職に就いているのか疑問に思われる方もいると思います。これにはいくつかの理由があります。

まず大前提として、大学病院というのは臨床だけでなく、教育、研究の責任も等しく担っており、この点で他の病院とは使命が大きく異なります。

また、群馬にいるとつい錯覚しますが、放射線腫瘍学は未だ明らかにマイナー分野です。全国的にも依然医師が不足している状態ですので、全国ほとんどの放射線腫瘍医は臨床を中心とした業務に従事し、基礎研究を進めることは難しいのが現状ではないでしょうか。しかしがん治療において放射線治療が担う責任は常に高まっており、つまり、同じくがん治療の中心を担う外科や内科と同じレベルで、分野内の基礎研究が求められると言い換えられます。その意味では、全国トップクラスの人員数を誇る群馬大学放射線科が、放射線腫瘍学の基礎生物研究を進めるのは、もはや使命であると考えます。

ただ、一人の医者の基礎研究能力は、(少なくとも今の私は)率直に言って本職の基礎研究者の足元にも及びません。それでも医師が研究を行う意味は、「臨床からのフィードバック」という、医師しか持ち得ない視点を持ち込めることだと言えます。もっともシンプルな例は「同じ放射線量を同じように投与しても、治る患者さんと治らない患者さんがいる。その原因は何か?」ですが、この感覚は、実際に多くの基礎研究者と話をすると、我々医師の思った以上に乖離のある点のようです。この点が、医師が研究を行う意味であると考えます。

また上記から、医師の理想的な生物研究の体制とは「熟練したスキルを持つ臨床に関心の高い基礎研究者との共同研究」ではないか、と考えるようになりました。

最後に

私は今、本当に毎日楽しく仕事をしています。実際に、上記の通りの理想的な体制での研究を進められています。その環境を整えてくださった中野教授、先代LM尾池先生には大変感謝しております。さらに私がLMの業務に専念できるのは、どんなに忙しくても日々の臨床面での業務を負担してくださる同チームの河村先生、久保先生、水上先生、安達先生、そしてもちろん大学病院の先生方全員のお陰に他なりません。皆様のご協力に応えられるよう、しっかりと成果を出していく所存です。

研究を中心に仕事をしていると言っても、私は医師ですので、最終的な目標は「患者さんのためになる仕事」です。数年がかりの仕事ですが、一人でも多くの患者さんおよび家族が幸せになれる仕事をしたいと思っております。

当教室の教授は「世界のNakano」です。伊香保での中野教授就任10周年祝賀会で教授から提案されました通り「中野教授の名前をNatureに載せること」、この目標は皆様周知の通りです。当然Natureレベルの論文は易々と書けるものではありませんが、その目標を念頭に置き日々の研究を進めることが、いずれ大きな成果につながると思っています。

さて、いざ書いてみると、あまりの長文っぷりに我ながら呆れ果てます。内容もまるで素人の出来の悪い随筆のようになってしまいました。この忙しい時期に、果たして最後まで読んでくださった方がいるのか不安で仕方ありませんが、「LMはどんなことをしているのか」という依頼には応えられたのではないかと思います。

ここまで読んでくださった学生の皆様へのメッセージとして、群大の放射線科では実に様々な生き方を選べる、ということをお伝えしたいと思います。私が強く印象に残っている先輩の言葉で、「群大放射線科の最大の強みは、最新機器ではなく、日本で一番、教えてくれる先輩が多いこと」というものがあります。多くの先輩から指導を頂き、多くの選択肢から人生を選べる、こんなことができる環境にいる私は、32歳にもなって、毎日がとても楽しいです。

最後になりましたが、皆様からの引き続きのご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

海外留学記ー吉田大作先生(マサチューセッツ総合病院)

皆様こんにちは。H15(2003)年卒の吉田です。2016年4月から米国ボストンのMassachusetts General Hospital(MGH)に留学しております。留学に当たり、中野教授をはじめとした医会の皆様には多大な御支援頂いております。この場をお借りして、心より感謝申しあげます。

こちらに来て1か月ちょっとほどしか経っておらず、“グローバルリーディング”な皆様にお話しできるような大層な話はまだないです。にも関わらず執筆依頼が来たのは、報告書としての原稿依頼なのでしょう。たぶん。

さてこの1か月ですが、アメリカでの新生活がようやく落ち着いてきた所です。入国して日常生活のセットアップを始めました。住居は日本にいるうちに現地の方にお願いし、3月より確保しました。場所はブルックライン市というボストン市の西側に位置する所です。一般に“ボストン”と呼ばれるGreat Bostonに含まれる地域で、我が家はその中でも東側にあり、ほとんどボストン市といったところです。歩いて10分弱のところにMLBのRed Soxの本拠地、フェンウェイ・パークがあります。またHarvard Medical SchoolやBeth Israelなどが集中するLongwood medical areaにも近い、アカデミックな地域でもあります。このため医学研究者を中心とした日本人が多数居住しており、小学校には英語が十分に出来ない生徒をサポートするスタッフが常駐しています。手厚い対応が期待でき、安心して子供を学校に行かせることができます。

さてそれでは本題の、留学についてです。私が現在所属しているCellular & Molecular Radiation Oncology Laboratoryは、以前若月優先生や河村英将先生、神沼拓也先生が留学された研究室です。研究室は更に3つのグループからなり、私のグループのPrincipal Investigator (PI)はKathryn D Held准教授という女性の先生です。PIとは聞き慣れない言葉かと思います。こちらでは、assistant professor以上は、自分で研究費(grant)を申請ができ、独立したポジションです。研究室、教室を運営し、技官やポストドクを雇う権限が与えられ、自分のアイディアで研究を進めていくという意味で主任研究者、PIと呼ばれています。つまり研究面において、Full Professor(教授)、Associate Professor(准教授、講師)とassistant professorは対等です。因みに、assistant professor以上の教授職をファカルティと呼びます。アメリカの研究室では、ボスであるPIの下に直接ポスドクや大学院生が付くことになります。ですので、私がLoeffler教授と直接関わることはありません。Held先生の研究テーマは、in vitroでの放射線によるバイスタンダー効果です。培養細胞を使い、放射線を照射し、それに対する細胞の反応を見る、という研究です。実際の実験手技としては、ある程度限られたものだけを使っています。しかしながら、なにぶん大学院を出てからこの数年全く基礎実験に触れず、ブランクが大きいため、それらのテクニックを習得、確認している所です。今後は神沼先生の実験を引き続いてやっていく予定です。どこまでやれるか分かりませんが、できるだけのものを手に入れて、皆さんに還元できるようにしたいと思っております。

ところで執筆に当たり、過去メルマガに掲載された海外留学記を見られる範囲で目を通してみました(放射線科ホームページで見られます)。しかしあれですね。みんな真面目ですね。まあふざける要素が無いといえば無いので当然ですが。ただ読んで行くと、各々皆さん個性を感じますね。本人知っているのもありますけど。白井先生は“真面目”って感じでいろんな方面に気を使いながら書いている感じが伝わります。若月先生は流石に教授になられる方だけあって、立派な留学されていたことが伝わります。他意はないです、別に。河村先生は不思議青年らしく、なんだか叙情的な文章を書きますね。アンニュイな気分にさせられます。田巻先生は、放射線治療に対する熱さを感じますね。仕事の内容の素晴らしさに、こちらも誇らしくなります。本人の“天然っぷり”が滲み出ていないのが残念な限りです。岡本先生はそつがないですよね。読みやすいし、頭の良さを感じます。吉本先生は研究歴も長く内容の充実も流石ですが、何より3回も書いているんですね、留学記。メルマガ担当者が頼みやすかったのでしょう。人柄が感じられます。そして尾池先生。素晴らしい。一生付いて行こうと決めました。JASTRO Newsletterも楽しみです。そして加藤先生。アウトバーンについての詳細なレポート。もはや異次元です。結局ドイツで何をしていたのでしょうか?謎のままです。

それではまた。

着任挨拶ー若月優先生(自治医科大学)

平成14年入局の若月優です。このたび、平成28年4月1日付けで自治医科大学放射線科/中央放射線部の教授を拝命いたしました。30代最後の年にこのような身に余る大役をいただけたのは、群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学教室の医会並びに同門会の皆様方の御指導・御支援のおかげと心より感謝申し上げます。

自治医科大学の放射線治療部門は私を含めて、現在常勤医2名、レジデント1名、非常勤医師数名の小所帯でありますが、3台の放射線治療装置と1台の小線源治療装置で年間約1000名(新患800名)(うちIMRT約100件、定位照射約50件、腔内照射約30件)の治療を行っております。栃木県内はもとより、茨城県西部、埼玉県北部の放射線治療を支えております。先任の教授も約半分の患者を担当されていたとのことで、医者になって一番臨床に重きを置いた1か月となりました。

しかしながら大学病院の役割は『教育』、『研究』、『臨床』の多岐にわたりますので、臨床だけでなく、教育・研究も臨床部門が軌道に乗りましたら頑張っていきたいと考えております。特に、放射線腫瘍医の育成こそが自分が群馬大学放射線科に入局以来のライフワークとしており、自治医大のように放射線腫瘍医の少ない大学病院でいかに放射線腫瘍医を増やしていくかを次のテーマと考えております。自分が群馬大学で多くの力を注いできた学生勧誘の面では、自治医大の学生には卒後9年間の義務年限があるため学生からの入局者は望めない環境にあります。そのため、研修医をいかに放射線腫瘍学に興味を持たせ、入局者を増やすかという新たなミッションに臨んでいく必要があり、そのための方法を模索しております。

一方で『研究』や『臨床』といった意味では、自分が今まで群馬大学や放射線医学総合研究所で努めてきた重粒子線治療などの最先端の医療とは異なり、自治医大の大学としての使命は、地域における医療の均てん化というテーマになります。「放射線治療の均てん化とは何が必要なのか」を考え、現在新たな取り組みを考えております。すなわち「放射線治療の均てん化」とは放射線治療機械の充足や普及、先端放射線治療の普及といったことだけでなく、「放射線治療を受ける機会の均てん化」ではないかと考えております。実際に自治医大に来て1か月間で、栃木県の中で地域によっては十分な放射線治療を受けられていない現状を目の当たりにしております。栃木県と同様に日本全国で見ても放射線腫瘍医が充足していない現状から、全国で同様の環境があることは想像されますが、全国の津々浦々に放射線治療装置だけでなく放射線腫瘍医を配置することは困難であることは言うまでもないかと思います。そのためにも根治治療だけでなく緩和治療においても、必要とした患者が適切なタイミングで放射線治療を受けることが可能なシステムを作り上げる必要があると考えております。

まだまだ新たな一歩を踏み出したばかりで、雲をも掴むような状況ではありますが、自治医大に赴任して大きな可能性と未来を感じております。群馬大学放射線科出身の名前に恥じないように、また多くの医会の後輩たちの目標となれるように精進していきたいと考えております。まだまだ至らぬ部分も多く、御迷惑をおかけすることもあるかと思います。今後とも御指導・御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

重粒子線治療の診療体制が変わります(保険診療、先進医療)

平成28年4月から重粒子線治療が新たな診療体制にて行われます。一部の病態(切除非適応の骨軟部腫瘍)で健康保険が適用されるようになりました。
また、先進医療として重粒子線治療が行える疾患・病態についても若干の変更があります。

詳細については群馬大学重粒子線医学センターの特設ページをご参照ください。

 

 

 

近況報告ー宮坂勇平先生(群馬大学)

はじめまして。今年より群馬大学放射線科に入局させて頂くことになりました、宮坂勇平と申します。4月から群馬大学医学部附属病院で勤務させて頂いております。簡単ではありますが、ご挨拶する機会を頂きましたので、簡単に自己紹介をさせて頂きます。

出身は長野県上田市で、県立上田高校を卒業した後に群馬大学医学部に入学しました。在学中は医学部バドミントン部に所属し6年間現役部員として活動しました。また、その傍らで医学祭や、運動部会の活動にも携わり、忙しくも大変充実した学生生活を過ごせました。
初期研修は伊勢崎市民病院で内科、外科、救急をはじめてとして幅広く研修しました。common diseaseに多く触れ、大変勉強になった2年間でした。しかし群馬大学放射線科で2ヶ月間お世話になった以外は、ほとんど放射線治療に関わらずに研修を終えたため、入局に際しては不安な気持ちが大きかったです。今は少しでも早く、多くのことを勉強し、一人前の放射線科医になるべく努力をしております。

また、入局と同時に大学院に入学することになりました。リーディング大学院生という恵まれた環境の中で研究活動ができることにとても感謝しています。学生時代はMD-PhDコースに在籍しており、応用生理学教室で環境生理の分野の主にvitroの実験をしていた経験もありますので、少しでも活かせたらと思っています。

放射線科入局を決めたのは、臨床をしつつ、活発に研究活動をし、医学の進歩に貢献できる科に進みたいと思ったことがきっかけです。学生時代からその思いで放射線科を志望しておりました。初期臨床研修では数多くの科で研修し、興味深く勉強させて頂いた診療科もありましたが、最後までその思いは変わらず、この度入局させて頂くこととなりました。

最後になりましたが、今後長いお付き合いになるかと思いますが、どうぞよろしくお願い致します。

近況報告ー博士課程修了にあたりー 医科学専攻 馬洪玉先生

2010年、群馬大学は唯一重粒子治療装置を有する大学であるため、群馬に来ました。また、中野隆史先生のお陰で、腫瘍放射線学の研究生として、群馬大学に入学することができました。そこで、中野隆史先生をはじめ、高橋昭久先生から様々な心躍る話を聞き、リーディングプログラム重粒子線医工連携コース博士入学の意思が固まったことを今でも鮮明に覚えています。

中野先生からは、朝カンファレンス、国際重粒子線癌治療トレーニングコースの参加から泌尿器科前立腺癌の重粒子線治療計画作成まで、臨床を勉強させて頂きました。高橋先生からは細胞培養の方法から最新の実験手技、放射線生物学の基礎から論文作成、実験の立案から具体的な進め方まで指導して頂きました。重粒子線の治療効果をさらに高めるため、いまだ解明されていない真理を見つけたいという決意のもとに、「がん細胞におけるDNA修復および細胞周期調節阻害剤による炭素線増感効果の検討」というテーマで研究を進めてきました。リーディングプログラムのお陰で、使い勝手の良い実験器具も設備も充実する研究室のように恵まれた環境で研究できたことはとても有り難いものでした。実験はしんどいところもありましたが、結果が出た時、2編の論文が国際学術雑誌に掲載された時、学位を取った時のワクワク感は言葉で表現できないものでした。また、中野先生による学会(JASTRO)懇親会での芸、高橋先生による研究室の忘年会での料理長並みの手料理など様々な楽しい思い出もたくさんあり、忙しくも楽しい密度の濃い5年間でした。

その中で、国際重粒子線癌治療トレーニングコース、群馬、東京、京都、沖縄、奈良、高知での国内学会、ドイツ、中国上海での国際学会発表の機会も与えて頂き、光栄なことにリーディング国際シンポジウムの優秀発表賞と国際癌治療増感研究協会の国際研究奨励賞を受賞することができました。今後、リーディングプログラム重粒子線医工連携コースから学んだことを生かして、より一層放射線癌治療に関わる医療の発展に貢献していきたいと決意しました。ちなみに、日本人の礼儀正しさ、誠実さ、思いやり、心遣いなどは素晴らしく、一生忘れられないです。

末筆になりましたが、熱心かつ丁寧にご指導くださった中野先生・高橋先生、サポートしてくださった教室員の皆様に心から感謝申し上げます。

学会参加記 ー小此木範之先生(放射線医学総合研究所)

2015年11月19日から21日に、群馬県前橋市のベイシア文化ホール(旧・群馬県民会館)と前橋商工会議所会館で日本放射線腫瘍学会第28回学術大会(JASTRO 2015)が開催された。紅葉のすすむ晩秋の群馬・前橋での地方開催であったが、参加者は約2000人と、大変盛況な大会であった。本教室の中野隆史教授が大会長を務めた本大会では、「高精度放射線治療時代の包括的放射線腫瘍学:Comprehensive Radiation Oncology in High-Precision Radiotherapy Era」をメインテーマとし、放射線治療の物理工学的革新と生物学的革新の融合に焦点を当て、粒子線治療をはじめとした最新の放射線治療、オーダーメイド放射線治療をめざしたトランスレーショナル・リサーチの現状、免疫療法併用放射線治療の最前線など、放射線腫瘍学の「現在」と「未来」を意図する構成であった。

今回のJASTRO 2015には特別な想いがあった。群馬大学大学院腫瘍放射線学の教授である中野隆史先生が大会長を務められ、福島県立医科大学放射線腫瘍学講座の主任教授である鈴木義行先生が実行委員長であったからだ。中野先生は私たちのボスであり、鈴木先生は私の博士研究の指導教官である。つまり、今回のJASTRO2015は、教室を挙げての一大事業であったのはもちろんであるが、私が放射線腫瘍医として生きるきっかけを与え、育ててくれた恩師の晴舞台でもあった。主催側のいちスタッフとして大会運営に貢献できたのは微々たるものではあったのだが、何としてでもこの大会を成功させたいという想いは人一倍強かった。よって本稿は、学術大会の印象記としては、多分に感情が入ってしまうがどうかご容赦いただきたい。

大会初日、明け方まで降っていた雨もやみ、開会の時間が近づくにつれ、緊張が高まる。前橋という地方都市開催ということもあり、もしかしたら参加者が、例年に比べて大きく減ってしてしまうのではないか、と不安になる。今回のJASTRO 2015では、JASTRO史上初めて、英語での演題募集を行った。それにもかかわらず、550題を上回る一般演題の応募があり、主催側としては大変ありがたく感じていたものの、実際どの程度、学会に来ていただけるかは未知であった。しかし、その懸念は杞憂に終わった。初日の午前11時の段階で、すでに参加者は800人を超えた。多少の安堵の中、怒涛の3日間が始まった。

国際化の点から今回のJASTROを見ると、例年にないものであったと言えるだろう。先に述べた英語での演題募集に加え、大会を通じて海外からの演者によるセッションが目白押しであった。どの演者も世界の第一線で活躍している医師・研究者であり、米国放射線腫瘍学会(ASTRO)の第55回学術大会の大会長であるDr. Lawton、欧州放射線腫瘍学会(ESTRO)の次期大会長であるDr. Lievensらによる会長講演はもとより、マサチューセッツ総合病院の Dr. Zietman、Dr. Held、MDアンダーソン癌センターのDr. Komakiなど、錚々たる面々による基調講演が、国内の一学会で聴けたというのは記憶にない。ほか、日中韓シンポジウムも含めれば、実にHあrHa計30以上の海外からの演者による講演があり、圧巻であった。また、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長から届いたDVDメッセージは、感動の一言であった。本教室の中野隆史先生は、IAEAの地域協力協定のアジア地域における保健分野の代表として、アジア地域における放射線治療の普及と発展に、20数年来尽力されてきた。中野先生が群馬大学腫瘍放射線学に着任されて以来、教室の基幹事業の一つとして続けてきたものである。天野事務局長からのメッセージI thank Gunma University, and in particular Professor Takashi Nakano, for hosting the 28th Annual Meeting of the Japanese Society of Radiation Oncology. Both the University and Professor Nakano are key partners for the IAEA in our human health projects in this region. I am grateful to them for their long-standing support for our work.」を聞き、馬大学腫瘍放射線学の一員として大変光栄であるのはもちろんであるが、中野隆史先生そして群馬大学の長年の国際貢献事業が、かくも大きく評価されていると実感した瞬間であり、私たちが社会のために行動を起こすこと、続けていくことの重要性を改めて実感した瞬間であった。大会1日目にして、不安、緊張、安堵、感激と、様々な感情が押し寄せた。

大会二日目。すでに参加者数は1700名を超えた。そしてこの日も魅力的なセッションが並んだ。「がん免疫放射線療法(Immuno-Radiotherapy)の夜明け」、「粒子線治療の新展開」など、現在の放射線治療の最前線を知るシンポジウムが開催された。とりわけ、鈴木義行先生が座長をつとめた、がん免疫放射線療法のセッションは大変興味深いものだった。ソニフィラン、クレスチンを始めとする非特異的免疫賦活剤や、サイトカイン療法など、がん免疫療法自体の歴史は非常に古いが、少なくとも私が研修医の頃は、JASTROでがん免疫療法をメインとするシンポジウムはなかった。しかし抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体などの、免疫チェックポイント阻害剤の有効性の報告が、がん治療の情勢を大きく変え、Science誌の2013年の“Breakthrough of the year”、つまりは医学界のみならず、科学全体の中で重要な進歩として、がん免疫療法が選出されるに至っている。今や手術療法、化学療法、放射線療法と並ぶ、第4のがん治療方法として、免疫療法はその地位を高めている。実際、本セッションには、公式プログラムで最も多い400名以上もの聴衆が集まり、その注目度の高さが伺えた。今回のシンポジウムで取り上げていたように、今後、がん免疫療法をいかにして放射線治療をはじめとする既存治療と併用していくか、その対象をどう見極めるか、ということが重要なテーマになっていくだろう。

大会三日目。この日も、「放射線療法の人材育成と適正人材配置」のシンポジウムや、「外来放射線治療を支える看護」の力と題したワークショップなど、興味深い内容のセッションが数多く開催されたが、中でも印象に残ったのは、「福島県における原発事故と放射線治療の現状」についてのセッションであった。東日本大震災以降、実際に現場で何が起きていたのかについての講演は臨場感に溢れており、また、福島県における小児甲状腺癌のサーベイランスについて講演も、大変興味深いものだった。30万人に迫るベースライン調査と、12万人を超える二巡目調査から、小児甲状腺癌の発生と被爆との関連を示すデータはないこと、そもそも50 mSvを超えて被爆した小児はいなかったこと、今後のフォローアップの重要性などが講演された。福島の震災が起きて早4年が過ぎたが、放射線を扱う学会として、福島で起きたこと、起きていることを、今後もJASTROで継続的に取り上げて行くことが、正しい理解を広げて行く上で、極めて重要であると感じた。

あらためて今、3日間の大会を振り返ると、本当に多くの人にこの学会が支えられていたのだと実感する。特に群馬大学腫瘍放射線学の同門会の先生や、学会運営の中心的な役割を担っていただいた群馬コングレスサポート、コングレの方々のご尽力なくして、この学会の成功は成し得なかったと思う。最後に、当教室の秘書含めた全スタッフが一丸となって取り組んだJASTRO 2015が、実際に参加して頂いた方々にとっても実り多きものであったなれば、この上ない幸せである。

近況報告ー吉田大作先生(佐久医療センター)

佐久総合病院佐久医療センター 放射線治療科  
吉田大作

 この若手医師の近況報告は今年で10年目、執筆するのはほぼそれ以来となります。あっと言う間に卒後13年目、40歳を目前にして、いくらなんでも“若手”と言うのには憚られる年代となってしまいました。
 論語に、「子曰く、吾(わ)れ十有五にして学に志ざす。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳従う。七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず」という有名な言葉があります。しかし、「四十目前にして惑いっぱなし」です。
 この「四十にして惑わず」は、「従来からの自分の枠組みの中にとどまっていてはいけない」と解釈するという説があるそうです。先ほどの「四十にして惑わず」には、異説があって、孔子がこの発言をした当時は、「心」という概念がまだなく、本当は、「惑」ではなく、「或」の文字だったという説があるらしいです。「域」「國」は、「ある特定の範囲」という意味なので、「枠にとどまらず、打ち破っていけ」というメッセージなのかもしれません。
人間年をとると、保守的になり、新しいことへ挑戦する意欲が年々減っていきます。30代後半は落ち着いてくる年代ではありますが、新しいことへの挑戦を避けるようになる時期のような気がします。これを避けるには、自ら現状を打破していくか、外的要因に追いつめられるしか無いと思います。「人を変えることは難しい。変えるのは自分」などといいますが、自分を自分で変えることも他人を変えることと同様に、難しいものです。結局、枠を打ち破るにはしんどい環境に自分を置いて、外的要因で変わっていくしか無いのです。
私の場合、3年前の群馬県立がんセンターでの玉木部長の栄転に伴う実質部門長への移行が大きな出来事でした。30年以上のキャリアの有る部長が退職し、当時10年目の私が部門の責任を持つ立場となる。結局9か月ほどで現在の佐久医療センターに異動することになり、終わりを迎えたわけですが、大変貴重な経験をすることが出来ました。そこで知ることができたのは、“同期、先輩は何の当てにもならない”です。これは当たり前です。アドバイスとは「どう変わったら(変えたら)いいか」を聞くことです。変わることをしていない人間に、変わることの提案を聞いても、内容があるわけが無いのです。
 皆さんにアドバイスがあれば「平常時は先輩を頼りにする。非常時に後輩が頼りになる。どんなときも頼れるのは自分。」です。後輩を大切にして、変わらないことを恐れ、精進していきましょう。

IAEA 天野之弥先生から (JASTRO28 International Symposium)

日本放射線腫瘍学会第28回学術集会のインターナショナルシンポジウムにて、天野之弥IAEA事務局長からいただいたメッセージがIAEAのホームページにも掲載されました。

以下のリンクをご参照ください。

Statement to the International Symposium on Radiotherapy Development in Asia

https://www.iaea.org/newscenter/statements/statement-international-symposium-radiotherapy-development-asia

日本放射線腫瘍学会 第28回学術大会 終了

2015年11月19日〜21日に開催され当科の中野隆史が大会長、当教室が事務局を務めさせていただいた、日本放射線腫瘍学会 第28回学術大会は無事終了致しました。

大会の開催に際しまして、ご協力ならびにご尽力いただいた皆様にこの場を借りまして心より御礼申し上げます。

http://gc-support.jp/jastro28/

日本放射線腫瘍学会 第28回学術大会 開催

日本放射線腫瘍学会 第28回学術集会が、明日より3日間以下の日程で開催されます。

本学会は当教室の中野隆史が大会長を、当教室にて事務局を務めさせていただきます。

スタッフ一同誠心誠意運営に努めます。たくさんのご参加をお待ちしております。

 

テーマ 高精度放射線治療時代の包括的放射線腫瘍学
会 期 2015年(平成27年)11月19日(木)~21日(土)
会 長 中野 隆史
群馬大学大学院腫瘍放射線学教授
群馬大学重粒子線医学研究センター長
会 場 ベイシア文化ホール・前橋商工会議所会館
大会事務局 群馬大学大学院医学系研究科 腫瘍放射線学教室
〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22
TEL:027-220-8383 / FAX:027-220-839

大会ホームページ  http://gc-support.jp/jastro28/index.php

 

JASTRO開催にあたってのご挨拶ー中野隆史

来る平成27 年11 月19 日(木)~ 21 日(土)に群馬県前橋市のベイシア文化ホール・前橋商工会議所会館において日本放射線腫瘍学会(JASTRO)第28 回学術大会を開催いたします。この場をお借りして皆様に今大会の特色をご紹介したいと思います。まず、今大会では国際的なプログラムの充実を図っています。米国放射線腫瘍学会(ASTRO)、欧州放射線腫瘍学会(ESTRO) との連携に加え、韓国放射線腫瘍学会(KOSRO)、中国放射線腫瘍学会(CSRO) との3 か国シンポジウムを予定しており、更に昨年、日本放射線腫瘍学会が中心となって立ち上げた、アジア地域全体を包括するアジア放射線腫瘍学連合(Federation of Asian Organizations for Radiation Oncology (FARO)のシンポジウムも予定されております。日本がアジアの放射線治療の中心的役割を担っていくという明確な意思表示になろうかと思います。また海外からは多くの著名な先生方をお招きしております。世界の一流の研究者の方々と交流する大変貴重な機会となると思いますのでぜひ講演に参加いただければと思います。

さて、今大会のテーマは放射線治療の物理工学的革新と生物学的革新の融合に焦点を当て、低侵襲の放射線がん治療法の開発や、先進的がん診断法による正確な病状の把握,最適なオーダーメイド放射線治療をめざす「高精度放射線治療時代の包括的放射線腫瘍学:Comprehensive Radiation Oncology in High-Precision Radiotherapy Era」と設定させていただきました。学会の国際化の流れを鑑みて、学術発表の抄録を原則英語とさせて頂きましたが演題数は予定を上回って550 題を超える申し込みがありました。新たな治療法に関する臨床試験の結果の報告から、放射線生物学、あるいは物理学の基礎的研究、さらにはコメディカルの方々からの取り組みのご報告など幅広い分野で質の高い演題が多く、大変嬉しく思っております。大会中は海外からの研究者も含め、多くの方々にご参加いただき、活発な議論ができればと思います。 大会への学生、研修医の方々の参加も大歓迎です。参加費についても初期研修医(卒後2年目まで)の方が5,000円 、大学生以下の方は無料とさせていただいています。日本の放射線治療の熱い雰囲気を感じていただけると確信しておりますのでぜひご参加ください。

今回、群馬での学会ということで、来ていただいた皆様にぜひ群馬の歴史、文化、風土を感じていただきたくさまざまな企画を準備しております。世界遺産である富岡製糸場に関する特別講演や、群馬の特産品を揃えた物販コーナーなども用意しております。また現在前橋はNHK大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台となっておりますが、前橋市にある群馬県庁にはドラマ館が設置されております。またドラマの登場人物である楫取素彦と大変ゆかりの深い歴史的建造物である臨江閣も比較的会場近くにございます。皆様のお時間が許せばぜひお立ち寄りいただき、群馬の雰囲気を感じていただければと思います。

最後になりますが、この大会が、放射線腫瘍医を中心として、あらゆるメディカルスタッフ、放射線生物学、放射線物理学等の専門家の参加を得て、基礎から臨床へ、臨床から基礎への相互方向の学際的学術トランスレーションの場を提供し、来たるべき放射線腫瘍学の展開に微力ながら寄与出来る契機となれば幸いです。多くの皆様のご参加を期待しております。

群馬大学重粒子線がん治療施設見学会・公開市民講座のご案内

下記日程で重粒子線がん治療施設見学会・公開市民講座が開催されます

1 日時 平成27年10月3日(土)10:00~16:00

2 場所 施設見学会:群馬大学重粒子線医学センター

公開市民講座:刀城会館ほか

※ 両会場とも群馬大学昭和キャンパス内にあります。

※ 施設見学会の受付場所は生協食堂(重粒子線医学センター隣)になります。

3 内容

【施設見学会】(団体を除き事前申込不要)

10:00~16:00

・上記時間帯において、自由に重粒子線治療施設内の機器等をご見学いただけます。(加速器室や治療室では、スタッフによる機器説明があります)

・20名以上の団体でお越しになる場合、本学重粒子線医学センターホームページ(http://heavy-ion.showa.gunma-u.ac.jp/)より団体申込書をダウンロードいただき、事前に下記問合せ先までお申込みください。

・個人の方も、申込書をダウンロードし必要事項を記入したものをお持ちいただけるとスムーズに受付できます(事前申込は不要です)。

・公開市民講座終了後は見学できませんので、ご了承ください。

 

【公開市民講座】(事前申込不要)

13:30~16:30

【講演】

「がん治療最前線:重粒子線治療とは?」群馬大学 重粒子線医学センター 大野達也 教授

「がんの陽子線治療」 筑波大学 陽子線医学利用研究センター 櫻井英幸 教授

「最新の放射線治療を地域で ~最古の放射線治療科での試み~」 JA長野厚生連 佐久医療センター 吉田大作 部長

「緩和ケアはあなたの治療を支えます」 群馬大学医学部附属病院 緩和ケアセンター 金子結花 看護師

【特別討論会】 「重粒子線治療で生還した患者さんの声」司会:群馬県立がんセンター 江原 威 部長

・公開市民講座の事前申込みは不要ですが、会場が定員に達した場合は中継会場での受講となりますので、ご了承願います。

問い合わせ先
群馬大学重粒子線医学研究センター 重粒子線担当窓口
〒371-8511 群馬県前橋市昭和町 3-39-22
Tel 027-220-7895  Fax 027-220-7720

 

詳細は以下のHPをご参照ください

http://gc-support.jp/jastro28/heavy_ion_tour.php

海外留学記ー吉本由哉先生(群馬大学)

皆様、こんにちは。平成20年卒業の吉本由哉です。2013年8月から2015年6月末まで、スウェーデン・カロリンスカ研究所に留学しておりましたが、帰国し、7月より群馬大学医学部附属病院で働いています。今回は臨床業務に復帰しての感想と、帰国直前のスウェーデンでの生活について書きたいと思います。

現在私は群大病院放射線科で、野田真永先生率いる脳・食道・婦人科グループで診療にあたっています。当グループは治療件数、入院診療共に多い非常にアクティブなグループで、また、組織内照射など侵襲的な手技も日常的に行うのが特長です。レジデント時代からお世話になっている先輩の村田和俊先生、同期入局の小此木範之先生にもサポートしてもらいながら(おんぶに抱っこ?)、2年のブランクを埋めようとなんとか頑張っています。久しぶりに臨床業務を行うにあたって、重要に感じているのは基本知識(学問的なこと)です。手技的・ノウハウ的なこと(Xioなどの治療計画プログラムの使い方、病棟でのオーダーの入れ方、腔内照射アプリケーターの組み立て方、など)はすぐに思い出すし出来ますが、解剖や、画像診断、治療に用いる放射線生物学は、以前知っていた以上は出来ませんので、日々基本書に立ち返って確認・勉強しています(今は、臨床のための解剖学・ムーア著、が気に入っています)。

私が学んできた腫瘍免疫との関連でいうと、食道がんでは樹状細胞注射と併用した免疫放射線治療の計画が既にあること、婦人科腫瘍では、腫瘍浸潤リンパ球の元となる生検材料に普段からアクセスしていること、IV期を含んだ幅広いステージの症例の診療を行っていることなど、免疫放射線療法を立ち上げて進行癌の治療研究を進めたいと思っている私にとって、とても面白い環境です。カロリンスカ研究所での師匠、Rolf Kiessling先生はメラノーマを専門とする腫瘍内科医でもあり、研究室ではメラノーマに関わる様々な研究を行っていました。私も研鑽を積んで早く一人前になり、臨床での得意分野をつくることで、基礎研究も推し進めて行きたいと思います。

スウェーデン・カロリンスカ研究所での後半1年間は、主にアメリカ・ボストンのベンチャー企業との共同研究を行っていました。ベンチャー企業が開発した新しい薬剤を用いて、リンパ球の抗腫瘍活性を増強させるのですが、詳細は特許などの関係でまだ論文化を待っている状況ですので、お伝えすることは出来ないのが残念です。このプロジェクトでは彼らとのやりとりを通じて、基礎研究における実務的なことをたくさん学ぶことができました。具体的には、彼らと、私たちKiessling研究室の、どちらが論文発表を行うのか、どれくらいの期間、独占的に彼らの新規化合物を用いることが出来るのか、そのための契約書、こちら側の研究計画書、などなどを煮詰めて行きます。その後は、FedExで化合物を配送してもらい、税関に引っかかるとそれを通すために電話をかけて、受け取った化合物で実験をして、結果をまとめるとSkypeでMeetingをする、といった具合で進んで行きます。こちらの研究室でも、個々人で得意分野があるので(リンパ球を分離する、増やす、殺細胞能の評価、動物実験、qPCRやFACSなどなど)、何人もの仲間に彼らのテクニックを教えてもらいながら進めて行きます。これらはもちろん英語で進められるので、英語に苦手意識を持っているような私にとっては大変な状況です。留学1年の時点ではまだまだ悲惨な会話力ですので、Discussionの前日には練習と想定問答をつくり、それでもやはり足りずに、最後はメールを送ってフォローするときも(我々日本人は、読解は出来るので)ありました。帰国少し前の2015年3月には共同研究者がストックホルムを訪問し、そのときは私がホストを務めて、研究室や周辺の案内や、会食のセッティングを行いました。英会話力の点でも戦々恐々だったのですが、逆に周到に準備したのが功を奏して、大変に喜んでもらえて、このことが私にとってもとても嬉しかったです。

留学1年半くらいとなると、同僚や、寮のご近所さんと飲みに行ったりするのが自然と出来るようになり、また面白くもなってきました。語学力もそうですが、相手国の文化やキャラクターをある程度解るようになるのも重要な点だと感じました。会話は、休日どうしているといった他愛ない話に始まり、互いに好きな映画の話をしたり、航空機やヨット、海流などマニアックな話や、あるいは噂話や、若い学生の恋愛話を聞くことなどもありました。このころになると、もっと長い期間スウェーデンに止まって、彼らともっと過ごしたい!とも思うようにもなりました。

2015年6月末に帰国することとなったのですが、スウェーデンでは、自分の誕生日も、歓迎会もお別れ会も、自分で企画しなければなりません。日本人の私たちの感覚からすると少々奇異ですが、郷に入っては郷に従うのも日本人。私も自分のフェアウェルパーティーを主催してきました。20名近くを自宅に招いてのパーティーなど、日本でも行ったことがありませんし、ヨーロッパではベジタリアンが一定人数いたりと、用意する食事も気をつけなければいけません。幸いにも、日本食は欧米でも人気で、天婦羅、寿司、納豆、日本酒などを含めた料理の宴会にして、好評を博することができました。

海外留学の機会を頂いて、中野隆史教授をはじめ、医会の皆さまには本当に感謝をしております。有難うございました。私にできる最大のご恩返しは、今回構築した人脈を、長く続け、さらに発展させることであると思っています。幸い、Rolf Kiessling先生や、准教授のAndreas Lundqvist先生には「君の仲間や学生は、いつでもwelcomeだ、カロリンスカに来てくれるなら歓迎するよ」と言って頂くことができましたし、現在も共同研究を続けています。近い将来に、今度は群馬大学発のプロジェクトを彼らのところに持ち込んだり、カロリンスカ研究所と群馬大学で若手の人事交流などをして、共同研究をますます発展させてゆくのが私の抱負です。

引き続き頑張って参りたいと存じます。どうも有難うございました。

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研究者寮(自宅)でひらいた、自分自身のお別れパーティー。こうして見ると、皆の背が高いのに驚く。宴もたけなわで半分くらいに人が減ったところ(23時頃)だが、外はまだ明るいです。

 

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研究者寮Wenner-Gren Centerの中庭と中心ビル(このビルではなく、これを取り囲む建物に住んでいます)。寮の入居は2年待ち。空の色も北欧では日本とやや違うようです。

平成28年度 群馬大学腫瘍放射線学教室 (放射線科) 医会説明会のご案内 (9月27日)

平成27年9月27日(日)の14:30−15:30に研修医向けの医会説明会を予定しています。
群馬大学全体のシニアレジデント募集説明会と同日の開催となります。
将来のキャリアプランから業務の1日の流れ、待遇などについても説明する予定です。
また当科施設の見学なども予定しております。ぜひ、お気軽に参加下さい。

詳細については研修医・学生の皆様への特設サイトをご参照ください。

学生・研修医の皆さんへ