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ポリクリFAQ

ポリクリとはドイツ語で病院の外来診療部門を意味するPoliklinik(ポリクリーニク)から来ていると言われています。クリニカルクラークシップやBSL(ベッドサイドラーニング)とも呼ばれ、医学部の学生が医師になるために実際の患者さんを通して勉強させていただく臨床実習です。
ここでは群馬大学放射線科で行っているポリクリを充実したものにするためのFAQ集を載せています。学生の皆さんはぜひ、実習前にひと通り、目を通してみてください。

  • ポリクリではどのようなことをやるのでしょうか?
  • 5年生のポリクリでは、それぞれひとりの患者さんを担当していただき、その患者さんを通して放射線治療の考え方や病気についての理解を深めていってもらいます。通常、木曜日の午前に患者さんのプレゼンテーションをしてもらい、質疑応答形式で疾患について勉強したことについて確認します。その他にも、治療計画装置を用いて自分で放射線治療の計画を作ってみたり、小線源治療の見学などをしたりします。以下に具体的な例を示します(図をクリックすると拡大します)(実際に来た時の実習とは若干異なる可能性はあります)。

    5年生のポリクリ例

    6年生の選択実習では、関連病院の見学も含め、希望に合わせて適宜対応することが可能となっています。お気軽にご相談ください。
  • 何を学べばよいのですか?
  • 私たちとしては、放射線治療の具体的な方法よりも、腫瘍学そのものを学んでほしいと考えております。2人に1人が悪性腫瘍に罹患する現在、どの診療科に進むにしても、必ず悪性腫瘍と向き合わざるを得ません。放射線治療は全身すべての悪性腫瘍が対象となりますから、放射線科での実習を通じて、腫瘍の疫学といった教科書的な事柄から、どのようなきっかけで発見されるのか、どのような症状がでるのか、どのように診断していくのか、どのように化学療法や手術を含めた治療方針を決定するのか、治療後の見通しはどうなのかといったようなことを、患者さんを通じて学習してください。そのような一連の経過を理解したうえで、今、目の前にいる患者さんに、何をすることがベストなことなのか、何に注意をしなければならないのかを考えながら、実習をしていただければと考えています。
  • 略語が多くてわかりにくいです。代表的なものを教えてください。
  • 放射線科でもっともよく使用される略語は、GTV(gross tumor volume)、CVT(clinical target volume)、PTV(planning target volume)です。これらの言葉は放射線治療において、照射したい部位を表します。GTVとはCTやMRI、視診などで明らかに癌がある範囲、CTVとはGTVに微小浸潤などを考慮した範囲(もっとも臨床的な知識と経験が必要とされる部分です)、PTVとはCTVに呼吸性の動きや、日々のずれなどを考慮した範囲を表します。
  • 放射線治療計画の見方がわかりません。どこを見ればよいのか教えてください。
  • 放射線治療計画は、線量分布(=放射線がどこにどの程度あたっているのか)がCTの上に描かれているものです。地図の等高線のように、線量の強さによってたくさんの線が描かれているので、初めて見ると混乱してしまうと思います。左上のところに何色が何%の線量を表しているかを示す凡例が載っていますので、その中から95%を示す線を探してみてください。例外はありますが、通常はこの線でPTVが囲まれ、できるだけ正常組織が外れるように計画を作っています。
  • カンファレンスでの討論内容がわかりません。ポイントを教えてください。
  • 放射線治療は病気を治すために腫瘍に線量を集中させて、副作用を避けるために正常臓器を照射しないことが理想です。そのためカンファレンスで討議することが多いのは、腫瘍(GTV、CTV、PTV)の線量が足りていない場合か、正常臓器(肺や腸管、脊髄など)に線量が多すぎる場合かのどちらかです。そのどちらかについて討論しているかがわかれば理解しやすいかと思いますので、まずはこのポイントに注意して聞いてみてください。