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重粒子線治療

重粒子線治療は重い粒子(炭素イオン)を光速の約70%にまで加速させ病巣に照射する放射線治療の1種です。

この治療のメリットとして以下の3点が挙げられます。

1) ブラッグピーク(体内のある深いところで電離のピークを形成する現象)や側方散乱が少ないことなどの物理的特性を利用して病変に集中して照射することができる。正常臓器を避けて照射することができるので副作用を低減できる。

2) 生物学的効果(がんを効率的に殺す能力)が高く、低酸素細胞や細胞周期S期の細胞などの光子線治療に抵抗性の腫瘍に対しても根治を狙うことができる。

3) 従来の光子線治療と比較して治療期間が短く患者負担が軽い。

これまで放射線治療でできる限りがんを治すため、副作用を減らすために様々な研究が行われ、臨床応用が試みられてきました。しかし、重粒子線治療は上記特性によって、これまでの放射線治療の弱点や課題を克服しています。夢のような最強の放射線治療、それが重粒子線治療です。

もともと国内の重粒子線治療は千葉県の放射線医学総合研究所病院(現在はQST病院)で研究目的に開始されました。群馬大学重粒子線医学センター(GHMC)は国内3施設目の重粒子線治療施設ですが、将来的な重粒子線治療の普及を念頭に、性能はそのままで従来よりも小型化した施設になっています。

群馬大学医学部附属病院と併設することで、1人の患者さんに対して各診療科で連携して高度ながん治療を提供することや患者さんの体調に応じた適切な対応を行うことが可能となり、従来よりも患者さんの目線に立った重粒子線治療を行うことができるようになりました。

重粒子線治療のデメリットとして、まだ適切な照射法や照射線量、治療成績などが確立していないことやそれにより保険適応となっていない疾患が多く治療費が高額になることなどが挙げられます。群馬大学放射線科では日々研究を行い、基礎・臨床ともに研究成果を多く発表しています(詳細は当ホームページの研究欄をご覧下さい)。現在まで、骨軟部腫瘍や頭頸部腫瘍、前立腺癌では保険診療として重粒子線治療を実施していますが、それ以外の疾患についても多くの研究成果を公表することで少しでも早く保険収載され、重粒子線治療が必要な多くの患者さんに重粒子線治療を提供できるよう研究を継続していきます。

重粒子線治療は医師だけでなく、看護師や診療放射線技師、医学物理士など様々なエキスパートが連携することがとても大切です。職種の垣根を越えて協力しながら良質な重粒子線治療を築き上げていくことが重粒子線治療の大きな魅力だと思います。


若手医師からのメッセージ

こんにちは、令和2年入局の大須です。

研修医や学生の皆さんは重粒子線治療をご存知でしょうか?

重粒子線治療施設は2020年12月現在、世界13ヶ所に設立されています。うち5施設は日本国内にあり、日本は臨床・研究共に重粒子治療分野において世界をリードしていると言えるでしょう。とりわけ、群馬大学の重粒子線医学センターは、大学病院に併設された重粒子線治療施設ということで、臨床・研究どちらにおいても世界トップレベルの実績を誇っています。

当教室では入局1年目から臨床・研究の両局面において重粒子線治療に触れることができ、世界の最先端を肌で感じることができます。

今までは、慎重に様子を伺っていただけのアメリカもついに重粒子線治療を本格的に狙いに来ています(個人の感想です)。20年後、重粒子線治療分野の先頭を走るのは皆さんや僕たちといった今現在の若い世代です!

世界トップの座を確固たるものにすべく、僕たちと一緒に重粒子をエンジョイしてみませんか!?

令和2年入局 大須 直人 先生