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論文紹介

著者の顔画像久保 亘輝先生
05 FEB 2021
Skin Dose Reduction by Layer-Stacking Irradiation in CIRT
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重粒子線治療の照射方法のConventional Passive Irradiation(CPI)とLayer-Stacking Irradiation(LSI)を比較した論文です。LSIはCPIを発展させたものなので、「LSIが優れていた」という当たり前の結果が書かれています。当たり前の結果でも、これまでこういう論文がなかったために新しく論文を書くときに引用に困っていました。 論理的に当然のことであっても、しっかりと形に残すということが次の発展につながるのだと思います。
Frontiers in Oncology
doi: 10.3389/fonc.2020.01396
著者の顔画像小林 大二郎先生
26 JAN 2021
Visualization of Micronuclei Triggering Anti-Tumor Immunity
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肺癌のパシフィック試験以降、放射線治療と免疫治療の組み合わせに急速に注目が集まっています。放射線治療が免疫を惹起する系のひとつにcGAS-STING経路があります。放射線治療によって形成された微小核がこの系を賦活化させることは末梢血リンパ球を用いた研究からすでに報告されていますが、腫瘍本体でどういった変化が起きているかは未知でした。今回我々は放射線治療後に微小核の発現量が増加することを、子宮頸癌の生検検体を用いて初めて報告しました。
Journal of Personalized Medicine
doi: 10.3390/jpm10030110.
著者の顔画像小此木 範之先生
16 JAN 2021
Dose-averaged LET per se Does Not Correlate with Late Rectal Complications in Carbon-ion Radiotherapy
論文画像
線エネルギー付与(linear energy transfer: LET)の高さは、放射線抵抗性の腫瘍に対して高い治療効果を示す、炭素イオン線治療の特徴です。しかし、実臨床において、LETの分布は一様ではなく、生体(ヒト)における晩期有害事象にLETが関連しているかは、明らかではありませんでした。線量あたりのLET(Dose-averaged LET: LETd)という指標を用いて、子宮癌における炭素イオン線治療後の直腸晩期有害事象との関連を解析した結果、LETdそのものは直腸晩期有害事象と関連していないことを明らかにしました。
Radiotherapy and Oncology
doi: 10.1016/j.radonc.2020.08.029.
著者の顔画像武者 篤先生
06 JAN 2021
You Can See a Spread-Out Bragg Peak in the Nature of Gunma!!
論文画像
Spread-Out Bragg Peakとは重粒子線治療の特徴の一つです。なんと、その特徴のグラフ形状に似た山が群馬にあります。世界へ放射線治療大国群馬のアピールと、世界中の放射線腫瘍学者へ知ってほしいと思い、ありとあらゆる山々から撮影を敢行しました。撮影場所は…お会いして話しましょう!! Published onlineが2020/8/10(山の日)でした。
International Journal of Radiation Oncology Biology Physics
doi:10.1016/j.ijrobp.2020.07.023
著者の顔画像阿部 孝憲先生
27 DECEMBER 2020
CyberKnife for T1N0M0 Lung Cancer Patients with Severe Pulmonary Dysfunction
論文画像
サイバーナイフは定位放射線治療に特化した放射線治療装置で、ロボットアームによる加速器の駆動によって多方向からの照射を可能とし、さらにそれが治療中のリアルタイム位置照合と連動することで切れ味鋭い治療を行うことができます。今回、低肺機能の肺癌患者に対するサイバーナイフを用いた定位放射線治療の成績を論文化しました。肺1秒量が1L以下という最もfragileな患者層に対しても重篤な副作用を起こすことなく治療することができました。
Journal of Radiation Research
doi: org/10.1093/jrr/rraa075
著者の顔画像横山 絢香先生
17 DECEMBER 2020
Impact of Inter-fractional Anatomical Change in CIRT for Prostate Cancer
論文画像
前立腺がんの治療において、患者の体内は日々変化しており、線量分布に影響を与えています。本研究では毎治療時のCT画像を用いて、日々の変化に対する水平ビームと垂直ビームの比較を行いました。その結果、水平ビームは垂直ビームと比べてターゲット線量を担保できることや、垂直ビームは直腸の中線量を低減させるのに効果的であること、3 mmのマージンが日々の変化において必要であることが示されました。今回の論文は私の人生初の論文となりました。無事書き上げることができ、うれしく思います!!
Frontiers in Oncology
doi: 10.3389/fonc.2020.01264
著者の顔画像小林 なお先生
06 DECEMBER 2020
SBRT for Pulmonary Oligometastasis from Colorectal Cancer
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入局1~2年目の研修先である埼玉医科大学国際医療センターでご指導いただいた、初めての筆頭著者論文です!この論文では“全身がん”になる手前の“オリゴ転移”に対する定位放射線治療をテーマとしています。大腸がんは肝臓や肺への転移があっても、転移巣の局所治療が予後改善につながることが明らかとなっています。その一方で、原発性肺癌などと比べ大腸がんの肺転移は局所制御率が下がることも指摘されています。今後は原発巣に応じた線量投与で、さらなる治療成績の向上が期待されます。
In Vivo
doi: 10.21873/invivo.12130
著者の顔画像柴 慎太郎先生
29 NOVEMBER 2020
Clinical Impact of Hypofractionated C-ion RT on Locally Advanced HCC
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局所進行肝細胞癌では集学的治療が必要です。近年、分子標的薬単独と比較して放射線治療+TACEで予後が改善するというデータが示されており、通常の放射線治療より局所効果が高く、肝機能温存が可能な重粒子線治療ではより予後が改善することが期待されます。今回、脈管侵襲がある局所進行肝細胞癌に対する重粒子線治療の治療成績をまとめ、重粒子線治療が局所進行肝細胞癌の有望な集学的治療の選択肢であることを示唆する結果となりました。
Radiation Oncology
doi: 10.1186/s13014-020-01634-z
著者の顔画像富澤 建斗先生
22 NOVEMBER 2020
Does the New FIGO Classification Have Better Stratifying Ability?
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入局1年目の富澤です。本研究はまさしく左の画像のような新入生の私に突然降ってきた大チャンスでした。様々な分類、ジャンルやカテゴリなど、組分けはあらゆるところで用いられます。本研究は2018年に改訂されたFIGO分類が子宮頸癌の病期と予後に与えた影響を、当科にハイブリッド腔内照射法が導入された後の221症例を旧分類と比較して検証したものです。新分類の方がより高い層別化能を持つことが示唆されました。指導教官である尾池先生の指導力に感服しながら、貴重な大学院生活の始まりを実感した入局初論文でした。
Cancers
doi:10.3390/cancers12071770
著者の顔画像入江 大介先生
15 NOVEMBER 2020
“Bump of Intestine” Revealed by Oral Contrast Agents at IGBT
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見えないモノを見ようとして、人は望遠鏡を覗き込んだりしてきました。子宮頸癌の腔内照射では腸が見えなくて困りますね。でこぼこ丸い子宮の上から腸が巻きついていると、まいったなコレ見えねぇしよって思います。そこで我々は経口造影剤で腸を見やすくしています。別に我々が初めて行った工夫ではありませんが、その詳細をまとめたのは我々が初です。するとこうして意外にもリッパな論文になるんですね。論文になればこの知識は忘れたって消えやしません。論文を書くモチベーションはそうやって始まったんですよ。
Cureus
doi:10.7759/cureus.8367