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当教室における研究の現状

当教室では、日本でも有数の多くの医局員数を有する放射線腫瘍科教室として、がん治療のさらなる向上を目指し、基礎研究から臨床試験まで幅広く取り組んでいます。

従来のX線治療に関する研究はもちろん、現在では、「日本で唯一重粒子線治療施設を有する大学」として、重粒子線治療の可能性をさらに広げるための研究に力を入れています。同じ目標に向かって、臨床医だけでなく、物理・生物それぞれの専門家が協力して研究を進めています。


平成16年度から5年間、世界最高水準の研究教育拠点の形成を目的とする国家プロジェクト「21世紀COE(Center of Excellence)」に、当教室が主体となって提案したプログラム「加速器テクノロジーによる医学・生物学研究」が採択されました。さらに平成23年度から7年間、国際的に活躍するリーダー養成目的とする国家プロジェクト「博士課程教育リーディングプログラム」に、当教室が主体となって提案した「重粒子線医工学グローバルリーダー養成プログラム」が採択されました。当教室は、これらの国家プロジェクトから、それぞれ数億円におよぶ重点的な支援を受けています。

加えて、当教室員の多くが、自らが掲げる研究課題に対し、国からの科学研究補助金を受けています。以上のように、当教室は、各個人が放射線医学研究に積極的に取り組むために充分な研究環境を有しています。

さらに、当教室は、ハーバード大学(米国)、オハイオ州立大学(米国)、カロリンスカ研究所(スウェーデン)、ハイデルベルク大学(ドイツ)、放射線医学総合研究所(千葉)、日本原子力研究所・高崎研究所(群馬)など、数多くの共同研究機関を有しています。これらの研究機関との強い連携も、当教室で研究をおこなう際の、非常に強力なバックアップになると考えられます。

研究ネットワーク

当教室は、以下の3項目を主な研究プロジェクトとして推進しています。

  • 重粒子線治療装置の展開による放射線抵抗性腫瘍の克服ならびに炭素イオン線Micro-radio-surgery技術の開発研究
  • 再生医学の放射線治療への応用による、放射線晩期反応を克服する先端放射線治療の開発
  • 分子標的治療や免疫療法の放射線治療への応用および放射線抵抗性腫瘍を克服するための研究


■ 当教室で現在進行中の主な研究テーマ

〈基礎研究〉
  • 重粒子線における放射線生物学ならびに医学物理学の先端的基礎研究
  • 細胞周期制御因子、細胞接着因子、細胞増殖因子受容体およびがん関連遺伝子を標的とした放射線感受性修飾の検討
  • 免疫放射線療法の基礎的研究ならびに化学放射線療法の増感効果の解明
  • 低酸素細胞マーカーによる組織内低酸素細胞の検出と低酸素細胞増感の研究
  • 血管再生能修飾による放射線照射効果への影響に関する研究
〈臨床研究〉
  • 重粒子線治療の照射効果に関する臨床的・病理学的研究
  • 炭素イオンMicro-radio-surgery法の開発研究
  • 3次元CdTeコンプトン量子カメラによる重粒子線線量分布の解析研究
  • 免疫放射線療法や温熱療法の臨床的有用性に関する臨床研究
  • 遠隔操作式腔内・組織内照射法の高精度化のための臨床研究
Micro-radio-surgery技術・コンプトンカメラ

■ 科学研究補助金(科研費)を受けている研究テーマ

現在大学スタッフ(助教以上)で科学研究補助金を受けている研究テーマは以下の通りです。
中野隆史 がん重粒子線治療の高度化と治療個別化の為の基礎的・臨床的研究
神沼拓也 重粒子線照射に対する細胞応答反応における二次的バイスタンダー効果の解析
吉本由哉 進行がんに対する免疫放射線治療開発のためのトランスレーショナル研究
水上達治 口腔癌の放射線治療反応性に関連する遺伝子変異プロファイルの同定
河村英将 去勢抵抗性前立腺癌における放射線抵抗性の機序の解明
渋谷圭 再発肝細胞癌に対する重粒子線治療のQOL評価と費用対効果に関する研究
佐藤浩央 放射線治療後DNA損傷応答による腫瘍細胞PD-L1発現誘導の分子機構の解明
村田和俊 重粒子線照射後におけるヒト癌細胞の浸潤、転移能についての研究
久保亘輝 非小細胞肺癌における重粒子線と抗癌剤併用療法の開発
武者篤 頭頸部重粒子線治療における口腔粘膜炎発症線量の解析
岡本雅彦 膵癌細胞の重粒子線による腫瘍免疫調節に関わる研究


■ 現在参加中の臨床試験

  • 限局性前立腺癌に対する炭素イオン腺を用いた16回照射の有効性・安全性試験(GUNMA0702)
  • 肝細胞癌に対する炭素イオン線を用いた短期照射の有効性・安全性試験(GUNMA0703)
  • 原発性頭蓋底腫瘍に対する炭素イオン線の有効性・安全性についての前向き観察研究(GUNMA0905)
  • 頭頸部悪性腫瘍(粘膜悪性黒色腫)に対する化学療法併用炭素イオン線治療の有効性・安全性についての前向き観察研究(GUNMA0903)
  • 頭頸部悪性腫瘍(骨軟部腫瘍)に対する炭素イオン線治療の有効性・安全性についての前向き観察研究(GUNMA0902)
  • 限局性前立腺癌に対する炭素イオン線を用いた16回照射の有効性・安全性についての前向き観察研究(GUNMA1302)
  • 子宮頸癌の放射線治療反応性に関与する遺伝子の同定に関する研究(1)前向き観察研究 (2)後ろ向き観察研究
  • 頸部食道癌に対する強度変調放射線治療(IMRT: Intensity Modulated Radiation Therapy)を用いた化学放射線療法の多施設共同第II相臨床試験(JROSG12-1)
  • 放射線及び紫外線感受性遺伝性疾患における新規原因遺伝子探索
  • 局所進行子宮頸癌に対する画像誘導小線源治療併用炭素イオン線治療の有効性・安全性試験(GUNMA1401)
  • 局所進行子宮頸癌に対する画像誘導小線源治療に関する多施設共同前向き観察研究
  • T1-2N0-1M0中咽頭癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)の多施設共同非ランダム化検証的試験(JCOG1208)
  • ネオアジュバント化学療法前の腋窩リンパ節陽性がネオアジュバント化学療法後に病理学的陰性に転じた患者を対象として、乳房切除後胸壁及び所属リンパ節の外部放射線治療、並びに腫瘤切除後所属リンパ節放射線治療を評価する第III相無作為化臨床試験(NRG Oncology/NSABP B-51/RTOG 1304)
  • 子宮頸がん根治的放射線治療における組織内照射併用腔内照射の第I/II相試験(HBT試験)
  • JASTRO 放射線治療症例全国登録事業(Japanese Radiation Oncology Database: JROD)
  • 臨床病期IA期非小細胞肺癌もしくは臨床的に原発性肺癌と診断された3cm以下の孤立性肺腫瘍(手術不能例・手術拒否例)に対する体幹部定位放射線治療のランダム化比較試験(JCOG1408: J-SBRT trial)
  • 全国重粒子線治療症例の登録および臨床評価
  • アミノ酸付加による頭頸部放射線治療患者の急性期有害事象発症率低減を目指した前向き臨床試験
  • 手術不能肺野型I期非小細胞肺癌に対する重粒子線治療の多施設共同臨床試験(J-CROS 1501 LUNG)
  • 子宮頸癌術後再発高リスクに対する強度変調放射線治療(IMRT)を用いた術後同時化学放射線療法の多施設共同非ランダム化検証的試験(JCOG1402)
  • JCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンク(JCOG1402)
  • CIPHER: A Prospective, Multi-Center Randomized Phase 3 Trial of Carbon Ion versus Conventional Photon Radiation Therapy for Locally Advanced, Unresectable Pancreatic Cancer
  • 局所進行子宮頸癌に対する3次元画像誘導小線源治療(3D-Image-guided brachytherapy for Locally Advanced Cervical Cancer: FNCA Cervix-V)


■ 当科研究室で可能な実験方法(例)

  • X線照射実験
  • 重粒子線(炭素イオン線)照射実験
  • Western blotting
  • Flow cytometry
  • DNA・RNA抽出
  • PCR
  • 免疫染色(蛍光法および酵素抗体法)
  • コロニーフォーメーションアッセイ
  • マウスモデルの実験
  • 小動物用CT、MRI
など