近況報告ー村田裕人先生(日高病院)

皆様、こんにちは。医師8年目となりました村田裕人です。現在は、日高病院腫瘍センターで、トモセラピーによるIMRTを担当する日々を送っております。僭越ながら、2016年10月20日(木)~22日(土)にかけてパシフィコ横浜で開催された、第54回日本癌治療学会学術集会(会長 群馬大学大学院医学系研究科 教授 中野隆史)の学会報告記の筆を執らせてい頂きます。

大会長はご存知の通り、当教室を支える中野教授が務められました。日本癌治療学会は1963年に設立された、会員数17,000を超える本邦最大の領域・職種横断的がん関連学術団体です。群馬大学が本学会を主催するのは、実に43年ぶり、第11回(1973年)以来となります。歴代の会長の多くは外科系であり、放射線科から大会長が選ばれること自体が稀な中、歴史と伝統のある癌治療学会の会長に選出された中野教授の偉大さが改めて身に染み、スタッフとして運営に少しでも携われたことを嬉しく思います。

本学術集会のテーマは、「成熟社会における,がん医療のリノベーション」です。単にがんを治すだかでなく、個々の背景を尊重・理解し、患者の人生そのものを一緒に考え、最適な治療法を提案するという、真の意味での医療者として患者・家族の支えになるというパッションが込められています。プラグラムにも随所に、高齢者への治療、補助療法、ケアサポート、教育、人材育成などの全医療的なセッションが設けられ、熱い議論がなされました。

大会1日目の特別講演には国際原子力機関(IAEA)事務局長の天野之弥先生にご登壇頂きました。このような貴重な講演が実現できたことは、放射線治療の発展途上国への普及という国際貢献に当教室が長年携わってきた経緯をご評価頂いた賜物でした。

大会2日目の会長講演の後には、オートファジーの研究で2016年10月3日にノーベル生理学・医学賞を単独受賞された大隅良典先生の特別講演がありました。大会参加者の全員が注目する講演であり、会場の混雑が予想されるため、もっとも収容人数の多い国立大ホールに会場変更を受賞が決まってから急遽変更し対応し、大盛況となりました。大隅先生の講演が決定したのは、もちろんノーベル賞受賞前のことです。中野教授が、特別講演の演者には、未来のノーベル賞候補者にお願いするといっていたことが、タイムリーに具現化した衝撃、先見の明には驚嘆いたします。

大会3日目には、世界的なジャズピアニストで、群馬県桐生市出身の山中千尋さんの特別コンサートが開かれました。大会2日目夜の会長招宴でも山中千尋さんにご演奏頂いています。現在はニューヨークを拠点に活動され、世界各地でコンサートを開催されています。今回、群馬大学が主催にあたり、本大会中の演奏を郷土愛から快く引き受けて下さりました。コンサートの最後は必ず桐生市名物「八木節」で締めるとのことで、初めて生演奏を拝聴しましたが、民謡とジャズの融合、アレンジが素晴らしく、感動しました。

他にも、工夫を凝らしたプログラムが設けられました。例えば、従来の教育講演をインターナショナルセッションとし、各がん腫ごとに第一人者である先生に登壇頂き、前半は日本人演者からの発表、後半は海外演者からの発表、最後にディスカッションの時間があり、日本、欧米の最新の診療ガイドライン、トピックを学ぶことが出来ました。

大会中には、群馬大学大学院博士課程の重粒子線医工学連携グローバルリーダー養成プログラム(通称リーディングプログラム)に所属する大学院生による国際シンポジウムも開催されました。英語による自身の研究のプレゼンテーション、質疑応答がありました。ハーバード大学・マサチューセッツ総合病院のRadiation Oncology部門のトップであるJay Loeffler先生などの海外の著名な先生方にもご参加頂き、国際色豊かなアカデミックな議論の場となりました。

大会3日目の午後には、がんジュニアセミナーin横浜も開催しました。本学会のプレイベントとして10月1日(土)に市民公開講座・重粒子線がん治療施設見学会を開催し、同日にがんジュニアセミナー in 前橋も開催しています。小学生高学年向けのがん教育であり、講師は群馬大学放射線科、外科の若手医師が務めました。メモを取りながら熱心に授業を聞く小学生のひたむきさに、自分も励まされました。

レセプション、おもてなしなどでも、随所に群馬らしさが取り入れられました。ポスター会場のある展示ホールでは、伊香保温泉から直送の足湯コーナー、無料での焼き饅頭の提供、群馬物産・観光案内コーナーを設けました。ランチョンセミナーでは、おぎのやの峠の釜めし、会員懇親会では、上州牛のローストビーフや地酒などが振舞われました。会員懇親会での開会セレモニーで行われた、羽織袴姿の中野教授を先頭にした神輿行列での入場シーンは圧巻でした。高崎まつりで高崎鞘町 右京會の方々と一緒に普段からと神輿を担がれている中野教授の晴れ舞台のため、沢山の右京會メンバーに高崎から駆けつけて頂きました。高崎頼政太鼓の方々にも素晴らしい太鼓の演奏を頂きました。懇親会の最後には、もはや伝統芸能の域に達した、当教室の川原先生、入江先生、岡崎祥平先生による応援団エールで会場を盛り上げて頂きました。

大会前夜の代議員懇親会から始まった3日間強の大会運営の有終の美となる閉会式では、大会長の中野教授と大会運営の中心となった野田先生による達磨への目入れが執り行われ、次回大会長となる北里大学外科の渡邊教授には中野教授から、次回大会の成功を祈願して、新調の達磨の贈呈が行われました。

大会中は晴天にも恵まれ、参加総数も9,000名を超える大盛況で、大会運営を無事成功裏に終了いたしました。昨年の前橋で開催した日本放射線腫瘍学会第28回学術大会に続いての、2年連続での大きな大会運営を当教室員、同門会一丸となって乗り越えることの出来た、非常に達成感のある充実した年となりました。群馬大学放射線科の熱いソウルはこれからも燃え続けることでしょう。以上、学会報告記でした。