近況報告ー若月優先生(放射線医学総合研究所)

放射線医学総合研究所の若月でございます。今回は編集担当の後輩から近況報告を書くように依頼され筆を取らせていただきました。思い返すと、このメールマガジンは2005年に自分が飲み会の席で発案し、「言いだしっぺ」ということで初代のメルマガ担当者となったところがスタートでした。すぐに鈴木先生と一緒にメルマガの発刊をスタートしてもう100回を超えるまでになっており、大変うれしいと同時に誇らしくもあります。因果は廻るといったところか、メルマガ担当であったころは先輩権限で多くの後輩に近況報告を押し付けて(?)いたのが、今回は自分に回ってくるとは・・・。
愚痴はさておき、メルマガ編集部からの依頼は放医研で取り組んでいることの紹介との事ですので、簡単ですが紹介して行きたいと思います。自分が放医研で行っていることは大きく分けて3つに分けられます。1つ目は当然ですが『重粒子線治療』になります。放医研は世界で始めて炭素イオン線を用いた重粒子線治療を開始した施設であり、重粒子線治療の普及と発展を使命として、臨床試験・先進医療として年間900-1000人に対して重粒子線治療を行っております。現在自分は、放医研の婦人科グループの責任者として、前任の加藤眞吾先生(現埼玉医大国際医療センター教授)の後を引き継ぎ、婦人科腫瘍に対する重粒子線治療を行っております。また今年度は骨軟部腫瘍の担当者の異動の関係で骨盤部を中心とした骨軟部腫瘍の重粒子線治療も行っております。
2つ目は通常の婦人科腫瘍に対する通常の放射線治療も行っております。これは荒居龍雄先生、中野隆史先生以来の歴史を引き継いだものとなっております。特にImage guided brachytherapy(IGBT)に関しては、1980年代よりスタートし、2001年より同室CTを導入し、現在年間で50-60例ほどの婦人科腫瘍の症例に対して放射線治療(IGBT)を施行しております。
3つ目は国際貢献として内閣府のプロジェクトであるアジア原子力協力フォーラム(FNCA)の放射線治療プロジェクトの活動があります。このプロジェクトはアジア地域における放射線治療の均てん化をテーマとして、1993年よりスタートし既に20年を超える活動となっております。現在プロジェクトリーダーを放医研フェローである辻井博彦先生が勤めており、これまでにアジア各国が参加する子宮頸癌に対する4つの臨床試験、上咽頭癌に対する3つの臨床試験、乳癌に対す1つの臨床試験、アジア各国における線量測定や線源の放射能校正等のQA/QC調査等を行ってきております。このプロジェクトも中野先生・加藤先生・大野先生から引き継がせていただいた仕事であり、年に1回のワークショップが各国持ち回りで開催されており、非常に貴重な経験をさせていただいております。本年は11月の第1週に弘前で開催される予定となっており、現在データの整理・解析に追われている真最中になります。
ここまで自分が責任者あるいは担当者として行っている業務を紹介させていただきましたが、自分にとって現在最も重要と考えている仕事がもうひとつあります。それは今までの放医研・婦人科グループの業績をまとめることになります。放医研では故荒居龍雄先生から始まり、中野先生、加藤先生など多くの先生方が積み上げてきた臨床データがあります。特に40年以上の子宮頸癌放射線治療のデータ、子宮頸癌などの婦人科腫瘍に対する重粒子線治療のデータは他にない世界で唯一の貴重なデータになります。このデータを解析し、今後の婦人科腫瘍の治療成績の向上に役立てるような論文報告を行うことが自分に課せられたもっとも重要な使命と考えております。まだまだ未熟で多くの課題に対して十分な回答を出せていない自分ですが、多くの諸先輩方の指導、優秀な後輩からの突き上げを受け、日々(少しあせりを感じながら)モチベーションを絶やさぬようにしております。後輩や今後自分達の仲間になる若者たちの目標となれるようにさらに頑張って行きたいと思っております。今後も皆様のご指導のほどよろしくお願いいたします。