近況報告ー吉田大作先生(佐久医療センター)

佐久総合病院佐久医療センター 放射線治療科  
吉田大作

 この若手医師の近況報告は今年で10年目、執筆するのはほぼそれ以来となります。あっと言う間に卒後13年目、40歳を目前にして、いくらなんでも“若手”と言うのには憚られる年代となってしまいました。
 論語に、「子曰く、吾(わ)れ十有五にして学に志ざす。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳従う。七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず」という有名な言葉があります。しかし、「四十目前にして惑いっぱなし」です。
 この「四十にして惑わず」は、「従来からの自分の枠組みの中にとどまっていてはいけない」と解釈するという説があるそうです。先ほどの「四十にして惑わず」には、異説があって、孔子がこの発言をした当時は、「心」という概念がまだなく、本当は、「惑」ではなく、「或」の文字だったという説があるらしいです。「域」「國」は、「ある特定の範囲」という意味なので、「枠にとどまらず、打ち破っていけ」というメッセージなのかもしれません。
人間年をとると、保守的になり、新しいことへ挑戦する意欲が年々減っていきます。30代後半は落ち着いてくる年代ではありますが、新しいことへの挑戦を避けるようになる時期のような気がします。これを避けるには、自ら現状を打破していくか、外的要因に追いつめられるしか無いと思います。「人を変えることは難しい。変えるのは自分」などといいますが、自分を自分で変えることも他人を変えることと同様に、難しいものです。結局、枠を打ち破るにはしんどい環境に自分を置いて、外的要因で変わっていくしか無いのです。
私の場合、3年前の群馬県立がんセンターでの玉木部長の栄転に伴う実質部門長への移行が大きな出来事でした。30年以上のキャリアの有る部長が退職し、当時10年目の私が部門の責任を持つ立場となる。結局9か月ほどで現在の佐久医療センターに異動することになり、終わりを迎えたわけですが、大変貴重な経験をすることが出来ました。そこで知ることができたのは、“同期、先輩は何の当てにもならない”です。これは当たり前です。アドバイスとは「どう変わったら(変えたら)いいか」を聞くことです。変わることをしていない人間に、変わることの提案を聞いても、内容があるわけが無いのです。
 皆さんにアドバイスがあれば「平常時は先輩を頼りにする。非常時に後輩が頼りになる。どんなときも頼れるのは自分。」です。後輩を大切にして、変わらないことを恐れ、精進していきましょう。