海外留学記ー神沼拓也先生(マサチューセッツ総合病院)

メールマガジンをご覧の皆様、大変ご無沙汰をしております。神沼拓也です。早いもので大学を卒業して丸10年、大学院を卒業して丸4年が経過しました。この度、中野隆史教授及び放射線科医会より米国マサチューセッツ総合病院(MGH)/ハーバード大学医学部(HMS)へ生物研究留学をする機会をいただき、本年1月より留学しております。本日はその近況について報告させていただきたいと思います。

私が現在所属しているCellular & Molecular Radiation Oncology Laboratoryという研究室は、以前若月優先生(放射線医学総合研究所)や河村英将先生(群馬大学)が留学なさっていた研究室です。研究室は更に3つのグループからなり、私のグループのPrincipal Investigator (PI)はKathryn D Held准教授という女性の先生です。また、群馬大学が新設した群馬大学未来先端研究機構の統合腫瘍学研究部門内に、Harvard大学/MGH LabとしてHeld Labが開設されています。そういった点からも我々群馬大学と深い関わりのある研究室で研究をしています。

当研究室は主にin vitroで細胞死、DNA損傷及び修復、Bystander効果などの研究を行っております。私も若月先生や河村先生の研究と同様、とある軟骨肉腫細胞株のBystander効果に関する研究を行っております。大学院卒業後も、大学院時代の指導教官であった鈴木義行先生(福島県立医科大学)にご指導いただいて僅かながらですが生物研究に携わっており、また事前に日本で河村先生から実験についてレクチャーもしていただいたので、自分としては「ある程度しっかりやれる」という思いはあったのですが、いざ実際に留学してみると、色々と戸惑うことも多く、半年が経過してやっと様々なこと(Labのしきたりとか実験手技とか物品発注の仕方とか…etc.)に慣れてきたというのが実際のところです。もう残り半年しかありませんので、多少焦りを感じながら研究をしています。

また、せっかくアメリカに留学しているので、こちらの学会にいくつか参加する予定です。現時点で参加予定なのはRadiation Research Society(RRS;米国放射線影響学会)、American Society for Radiation Oncology(ASTRO;米国放射線腫瘍学会)、Radiological Society of North America(RSNA;北米放射線学会)の3学会です。ASTROには以前も参加したことがありますが、他の2学会は初めてですし、英語力も若干は上がっていると思うので、1つでも多くのものを得られるように…と思っております。

留学前、中野教授が「研究も大事だが、わざわざ渡米するのだから、しっかりアメリカの文化や人の考え方もしっかり見てこい」と仰って下さいましたので、研究以外の部分も疎かにせず、一生懸命自分なりに楽しんでおります。特に妻は ― 妻は大学の同級生で、画像診断医なのですが ― 自分のキャリアを中断して私についてきてくれましたので、2歳になる息子も含めて、日本にいる時はなかなか出来ない家族サービスもしっかり行っております。PIのHeld先生もご自身の留学経験や子育ての経験から、そういったことにはかなり理解のある先生で、週に1回のLab Meetingで実験の進み具合などはチェックなさっていますが、自分で時間はflexibleに使って構わないと仰ってくださいます。

まだまだ色々書きたいこともあるのですが、長くなりすぎますのでここらへんにしておきます。また機会がもしあれば、もしなくても群馬放射線腫瘍研究会で、報告させていただきたいと思います。

最後になりましたが、今回私の力だけでは留学などは到底出来ませんでした。群馬大学放射線科という組織が長年培ってきた大きな力を図らずも実感しました。この伝統を築いてくださった全ての先輩先生方に感謝致します。また、日本放射線腫瘍学会を群馬大学で開催するという大事な時期に留学をする機会を下さった中野隆史教授や放射線科医会の皆様方、留学しても困らないようにと大学院を卒業してもなおご指導下さった鈴木義行先生、留学するにあたり相談に乗ってくださった前医会長の白井克幸先生、実験に関することで相談に乗ってくださる河村英将先生、若月優先生、遠くアメリカにいても細々と世話を焼いてくださる群馬大学放射線科秘書の皆様、その他全ての群馬大学放射線科関係者の方々に感謝致します。誠にありがとうございました。